ハーメルン
俺のWORST物語
閑話 ~迫田 武文《その1》

おう、俺は迫田武文。今年から下宿をして、んでもって鈴蘭に通うことになる岸中の恐竜だ。最初は実家から通おうと思ったんだが、近所の幼馴染である由紀也と透のイチャつきぶりがムカつくんだよ。美男美女ってーのか? 皆が認める公認カップル、…腹が立つぜ全くよー。…ってなわけだから男を磨くということで、梅星っていう人ん家へ下宿することにしたんだ。

…そこの親父さんはめっちゃこえーし、もう一人の人もアレだしでスゲー所なんだわ。…しかも俺の他に下宿する奴等がいて、その中には三中で名を売っていた武藤蓮次がいやがる。由紀也の敵ではなかったが、…俺にとっては強力なライバル。これはもう一発かましてビシッ! と決めるしかねぇだろ、…透がいねぇから心が痛まねぇわけだしよ。…っし! …気合十分、これから楽しくなりそうだぜ!!






俺には野望がある、…鈴蘭にて名を轟かせるっていう野望がな。言わずと知れた地獄の鈴蘭、一癖も二癖もある強い奴等が集まる無法地帯。そこで名を轟かせるってことは、不良の世界では最高の名誉。一端の男になれば今度こそ女の子にモテる筈、…絶対に。

だがその道はなかなかに厳しい、さっきも言ったがヤバイ奴等が腐るほどいるからな。…最大の障害は幼馴染の龍光寺由紀也、俺と共に岸中で名を売りまくった親友だ。メチャクチャ強い、それはもうマジで強い…としか言いようがない。何度かぶつかったことがある、…だが勝てたことは一度もない。しかも美人で心底由紀也に惚れ込んでいる彼女がいる、…そっちでも大敗している俺の中では最強の男。同学年で由紀也に勝てる奴はいねぇ、…でもいつかは勝つ! それが男の意地なんだ、…目標はデカく! 気合だ、…気合を更に入れろよ迫田武文!!

その他にも加東秀吉、岩城軍司、ブッチャーこと神戸好克の三大派閥。ゼットンこと花澤三郎、黒澤和光とかいう曲者もいる。…岸中の先輩である野間大悟、伊東優哉、川尻林太郎もいる。そして何と言ってもこの街最強と言われている花木九里虎がいる、生半可な道じゃねーぜ!






手始めに下宿先の奴等の頂点、長兄になろうと思ったんだが………負けちまった。月島花とかいうマルコメ頭にやられちまった、……強かったぜ。だがユキよりは弱い、俺の知る中で二番目ってところか? 見たこともやり合ったこともねぇから花木九里虎は除外。…にしても負けちまって悔しい筈なのに、何故かそれ以上に清々しい気分になった。…月島花、…コイツは大物になるぜ。俺はそう思った、…よくは分からねぇけどよ。

負けた後は皆で五分の兄弟ってことになった、長兄にはなれなかったがそれもいい。…で兄弟達に何処の高校へ行くのかと聞いてみれば、俺と同じ鈴蘭へ行くのは月島花、武藤蓮次、冨永寅之助の三人。藤代拓海っていう奴は黒咲工業へ行くとのこと、…にしてもまさか花達三人も鈴蘭とはな。これから面白くなりそうだぜ、鈴蘭の生活ってーのはよ!

…おっと、鈴蘭へ行く前に言っておかなきゃならねぇな。

「よー、因みになんだがよ。鈴蘭には俺の幼馴染である由紀也も入るからよ、俺共々一つよろしく頼むわ。」

若干ニヤけながらそう言えば、

「……げぇっ!? …岸中の猟犬!!」

「…お前ら、本当に仲が良いのな。」

寅之助はあからさまにビビり、蓮次はニヤリと笑みを浮かべる。花は…、

「えっ、誰? …ユキヤ? …犬の名前?」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析