16話
放課後になったので、俺は有栖と帰ることにした。
桔梗はクラスの人達と勉強会をすることになっているとのことなので、一緒には帰らない。
「しばらくの間は遼くんのことを独占できますね」
「そうだな」
勉強会が終わったら俺の部屋に来そうだが、それまでは2人きりでいることができる。
だからなのか今日は早く寮に帰りたそうだ。
「Aクラスの坂柳さんと水無月くんだよね?」
帰るために2人で廊下を歩いていたら、女子生徒に話しかけられた。
腰下まであるピンクの長い髪は少しウェーブがかかっていてる。
そしてその笑顔と制服の上からでもわかる巨乳は、男を惹き付けてならないだろう。
「Bクラスの一之瀬さんでしたか?」
「うん。私は一之瀬帆波だよ」
一之瀬のことは聞いたことあるな。
Bクラスのリーダーをしていて、クラス内からの信頼が厚い生徒だ。
「何で俺達のこと知ってるの?」
知っている理由は大体想像がつくけど。
「えっとね、櫛田さんにAクラスの知り合いがいないかって相談したら、2人の名前が出てきたの」
やっぱり桔梗か。
これは堀北を退学させるために彼女も味方につけてほしいってことだろうか?
見た限りでは善人を絵に書いたような人っぽいから、協力してくれるとは思えないけど。
てか退学させたいという堀北を紹介させろよ。
桔梗なら可能だろうに。
いや、それが難しいから堀北のことを紹介するなんて言ってこないのだろう。
「それで何の用ですか?」
有栖の声に少し苛立ちを感じる。
せっかく2人きりでいれる貴重な時間を邪魔されるかもしれないのだし、仕方ないだろうけど。
「うん。良かったら一緒に勉強会でもしようかなって思って」
一緒に勉強会なんて何を考えているんだろうか?
「私がそれに賛成するとでも?」
「それはわからないよ。でもAクラスの人達と一緒に勉強会ができたらいい刺激になると思ったんだ」
本当に裏表のなさそうな人だな。
いや、そうなった原因がないかあるのかもしれない。
人間には少なくとも何かしら裏がある。
彼女にも人には言えない何かがありそうだから、桔梗を使って探らせてみよう。
「話になりませんね」
「俺は一之瀬と勉強会してみようかな」
「遼くん?」
有栖は勉強会を開くのは反対なようだ。
まあ、俺といれる時間が減るのが嫌なんだろう。
「ただ、今日は予定があるからその話は後でさせてくれ」
「うん。じゃあ、私の連絡先教えるから後で連絡して」
俺は一之瀬と連絡先の交換をしてから寮に帰った。
☆
「何で勉強会を開くのですか?」
本当に納得してなさそうな顔だ。
でも有栖は俺に逆らうことなんてできないから、勉強会に行くことになるだろう。
「ただ単に一之瀬を味方にしといた方がいいと思っただけ」
「それは櫛田さんみたく屈服させるのですか?」
「そこまでは考えてないよ」
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