6話
俺の部屋に有栖の服を持ってきてからは、一緒に外に出ている。
とある物を買うためだ。
「学校の敷地内にこんな物が売っているのですね」
俺が買ったのはアフターピル。
昨日から有栖の中に出しまくったので、これを飲まないと妊娠してしまうことがある。
だから有栖にはこれを飲んでもらう。
「それを置いてでも妊娠してほしくない理由があるってことだね」
アフターピルが置いてあるのは学校側も知っているはずだ。
それなのに普通に売っているということは、妊娠されては困ることがあるから。
妊娠してしまったら少なくとも女子は退学するしかない。
退学になったら恐らく教師が困る。そんな理由があるから黙認されているのだろう。
だからセックスしたとしても、妊娠させなければ何も問題がないということだ。
カメラの前や人前でしてバレたらペナルティがあるかもしれないが、バレなければ問題はない。
有栖にアフターピルを飲ませる。
中に出してから24時間以内に飲めば効果があるから、これで妊娠することはほぼなくなる。
「副作用出たら言ってね」
「はい」
妊娠は99パーセント防げるが、アフターピルなので、副作用は少し出る確率が高い。
もし副作用が出てしまったら、今後はゴムを使用することにしよう。
アフターピルを買った後は学校の敷地内にあるケヤキモールまで来た。
高度育成高等学校は許可なく外に出るのと、外部との連絡が制限されている。
もし、許可なく外に出たらペナルティまである徹底ぶりだ。
でもその反面、生徒達が苦労しないように数多くの施設が存在する。
カラオケやシアタールーム、カフェ、ブティックなど、小さな街が形成されていると言ってもいい。
大都会のど真ん中にして、その広大な敷地は60万平米を越えるそうだ。
そしてこのケヤキモールが放課後や休日に学生が良く利用する複合施設なのだ。
ケヤキモールがあるから生徒達は外に出れなくても文句を言わないのだろう。
ここにさえ来れば遊ぶことに不自由はないのだから。
しかもポイントは無料で支給されるから、ケチる必要もないのだ。
まあ、俺はそんなに使う気はないけど。
「初デートだね」
「そう言ってもらえて嬉しいです」
俺は有栖と手を繋いで歩いているから、他の人から見たら恋人同士にしか見えない。
有栖は服に気合いをいれたのか、とても可愛らしいワンピースを着ている。
そのワンピースに合った帽子をかぶっていて、ファッション雑誌にも出そうなほどだ。
「映画でも見ようか」
「はい」
最近上映が始まった映画があるので、それを見ることにした。
有栖が映画を好きなのかわからないが、少ししたいとこがあるから、これは強制的に見てもらう。
映画を見るためのポイントを支払って、上映時間に近づいたので席に着く。
土曜だからか見に来ている人が多くてなんとか隣同士で席を抑えることができた。
もう少し遅かったら席を取ることができなかったかもしれないな。
上映が始まって少しして有栖のことを見るが、あんまり興味がなさそうにしている。
映画はあんまり見ないのだろう。
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