サザーラント
4月 22日 早朝
「おはよう、キリコ」
「いい天気だな」
「ああ」
朝、デアフリンガー号の食堂でコーヒーを飲んでいたキリコに列車でも同室だったウェインとスタークが話しかけてきた。
「キリコ君、おはようございます」
「お、おはようございます」
続いてサンディとタチアナが話しかけてきた。
「お前たちは準備はいいのか?」
「ああ、着いたら忙しくなるからね。今のうちにコーヒーでも飲んでおこうと思ってね。キリコ、俺にもくれないか?」
「スターク……よく飲めるな……」
「キリコの淹れるコーヒーはなかなか旨くてな。いい豆を使っているな」
「ああ」
キリコはスタークにコーヒーを出し、自分のを啜った。
「コーヒーはちょっと苦手です……」
「タチアナちゃんには紅茶を用意してあるからね。ウェイン君も紅茶でいいかな?」
「ああ、貰おう」
サンディがタチアナとウェインに紅茶を淹れていると、
「おはよう、みんな早いわね」
「おはよう、キリコが一番早かったな」
「おはようございます」
Ⅶ組が起きてきた。
「あっ、あたしもコーヒーちょうだい」
「僕も貰おうかな」
「ミルクをください」
「うん、わかった。キリコ君、ユウナとクルト君のコーヒーも頼んでもいいかな?」
「わかった」
サンディに頼まれたキリコはユウナとクルトのコーヒーを淹れる。
「ここに置く」
「ありがとう。そう言えば、キリコ君のコーヒーって初めてかも」
「寮の食堂でもコーヒーばかりだからな」
「じゃ、いただきまーす」
ユウナはコーヒーを啜る。
「……………」
そして黙りこむ。
「ど、どうした?」
「に……」
「に?」
「にぎゃい。飲めにゃい……」
「え?」
クルトもコーヒーに口をつける。
「ふむ、たしかに苦いが、コクと酸味があって香りもいい。僕は好きだな」
「私は遠慮しておきます」
「なんでスターク君とクルト君はこんなの飲めるのよ~!?」
食堂にユウナの後悔の叫びが響いた。
「ユウナさん、すごいです……私もキリコさんのコーヒーが飲めれば良かったんですが……」
その様子を見ていたミュゼはため息をついた。
午前 5:12
セントアークから少し離れた場所にある演習地に到着した。
分校生徒全員がテントの設営、機甲兵の運びだし、通信機器の設置などの活動を行った。
午前 6:30
朝食を終えたそれぞれのクラスが外で演習内容の説明を受けている中、ブリーフィングルームではミハイル、クレア少佐を交えてⅦ組の演習内容の説明が行われていた。
「──《Ⅷ組戦術科》は、戦闘訓練に機甲兵によるミッション演習……。《Ⅸ組主計科》は通信、補給、救護などの実戦演習を予定している」
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