ハーメルン
ヤミヤミの桜
神の国スカイピア

「それで、オルトリンデさん、でしたか?色々と聞きたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「は、はい……でも、あの……この状態で?」

 ケイローン先生の言葉に戸惑うオルトリンデ。やっぱ可愛いな。ワルキューレの中で一番話しやすいのはヒルドだけど一番可愛いのはオルトリンデだな。抱き心地も最高だ。

「サクラ、まだ敵が味方かも解らないんだからやめなさいよ……」
「大丈夫ですよ、こんなにおとなしく抱き締めさせてくれるんですから」
「何よ、添い寝なら私だってしてあげたじゃない!」

 もう!と頬を膨らませるシトナイ。

「では代わりにシトナイを抱きしめましょう」
「し、仕方ないなぁ」

 オルトリンデの代わりにシトナイを抱き締める。腕にすっぽり収まる良いサイズ。それと、ひんやりしてる。

「グオウ」

 さらに俺たちをシロウが抱き締めた。これ良いな。今度これで寝よう。

「ふぅ………では私はこれで。今後、私達に用があったら笛を吹いてください。1ホイッスル500万エクストルで私達姉妹か、私達の主である空の騎士が駆け付けます」
「エクストルって……?」
「………え?エクストルですよ、空島の通貨………ハイウエストの頂から来たのなら、他の島を幾つか通ったのではないのですか?」
「ハイウエスト?」
「空島への正規のルートですよ。ただ、100人乗った船の何人かが生き残る、そういうルートですが……」

 ケイローン先生が説明してくれる。流石、物知りだなこの人。

「まあ私ならその100人が全員生き残れるように鍛えますが」
「そ、それは酷と言うものでは………」

 ケイローン先生の言葉にオルトリンデが引いてる。つまり正規のルートを全員生きて渡れるようにするにはそれだけ危険と言うことか。

「私達は彼女の能力で船を浮かせて来たのですよ」
「それがなかったら“突き上げる(ノ ッ ク ア ッ プ)海流(ストリーム)”で来ましたがね」
「あのバケモノ海流を……0か100の賭を、わざわざ選ぶんですか?」
「え、0って全滅するかもしれないって事………あ、でも他のルートだと誰か死んじゃうのか」

 シトナイが顔を青くしてんーんー唸る。危険は怖いけど仲間が死ぬのは船医として容認できないのだろう。

「………勇敢な方々ですね」

 と、目を丸くして見てくるオルトリンデ。しかし興味を持ったのか此方をジッと眺める。

「………では、その勇気を称えて1ホイッスルは無料で助けましょう」
「それは、空の騎士や貴方の姉妹に聞かなくて良いのですか?」
「ええ。姉妹達も、主もその勇気を称えるでしょうから……」
「姉妹は何人居るのですか?」
「普段は三人ですね」
「………普段?」

 まるで普段じゃなければ増えるような言い方にアンが訝しむ。

「私はフエフエの実を食べた分裂人間。自身の同一個体を増やせるんです」
「貴方が何人もいるって事?」
「はい。とはいえ、個性は多少分かれますが」

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