十四話
『休日とは木の影で休む日である』なんて考えを巡らせている土曜日の朝…。
「おはよう、比企谷君」
「おはよう、雪ノ下」
「早く起きて着替えてくれないかしら」
「いや待て。まず、お前が俺の部屋に居ることを説明してくれ」
「小町さんに案内されたのだけど」
「そっちじゃねぇよ。理由の方だよ」
「今から私の実家に行くわよ」
「断る」
「それを断るわ」
「嫌だよ。だって、魔王と大魔王が居るんだろ?村人Aには攻略不可能だよ」
「大丈夫よ。父さんが居るわ。今日の目的は父さんと話をすることなのだから」
「あぁ、前に来いって言われたな」
「今日は珍しく父さんも時間があるから是非にと」
「ちなみに、由比ヶ浜は?」
「三浦さん達と遊ぶ予定があるそうよ」
「今、凄い悪い笑い方しませんでしたか?」
「気のせいよ。さぁ、早く着替えなさい」
「…なぁ、雪ノ下」
「なにかしら?」
「俺の着替え見たいのか?」
「!!!…ごめんなさい。すぐ出るわ」
「お待たせ…」
「カマクラさん。ニャ~♪うふふ」
5分経過
「ニャ~♪ニャ~♪うふふ」
「パンあったかな…」
10分経過
「ニャニャ?ニャ~♪うふふ」
「モグモグ」
15分経過
「大人しいわね♪ニャ~ン♪」
「さてと、歯を磨いて…」
20分経過
「モフモフモフ~♪うふふ」
「小町、そろそろ声かけていいかな?」
「あと少し待ってあげたら」
30分経過
「いい毛並みですね~♪うふふ」
「小町、もういいか」
「あんまり遅くなってもアレだから、いいんじゃないかな」
「あ~、雪ノ下。お楽しみのところを悪いが…」
「はっ!」
「そろそろ行くか?」
「え、えぇ。そうね」
「都築、行くわよ」
「かしこまりました」
「都築さん、駐禁切られませんでしたか?」
「パトカーは来ましたが、ナンバーを確認して通過していきました」
「これが忖度かぁ」
「御嬢様、比企谷様、到着いたしました」
「ありがとう、都築」
「都築さん、ありがとうございます」
「……」
「何か言ったらどう?」
「でけぇ」
「粗末な日本語ね。本当に国語学年三位なのかしら」
「平民がこんな豪邸見たらこうなるっつうの」
「父さんも待っているわ。行きましょう」
「ただいま帰りました」
「お邪魔しま~す」
「ようこそ、比企谷さん」
「…母さん」
「ご無沙汰しています」
「先日は陽乃がご迷惑を…」
「い、いえ、お気になさらずに…」
「比企谷君、姉さんと何かあったのかしら?」
「睨まないでください。ちょっとマスターの店で会っただけだよ」
「では、主人が待っていますので、応接室に」
「はい…」
応接室に入ると、雪ノ下父と陽乃さんが待っていた。
「比企谷君、よく来たね」
「比企谷さん、先日は大変失礼いたしました…」
「わ、わ、陽乃さん、やめてくださいよ」
「陽乃さん?貴方、姉さんを名前で呼ぶなんて…」
「仕方ないだろ、みんな『雪ノ下さん』なんだから」
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