15話 完全で瀟洒なメイドさん
「あら、面白いのが来たわね……咲夜?」
「お呼びでしょうか?」
「ええ、新聞の人間のようね。様子を見て来てくれる?」
「承知致しました」
「ああ、それから"軽く遊んできなさい"」
「……宜しいのでしょうか?」
「少しくらいなら平気よ、もしその程度なら興味も無いしね。咲夜の攻撃に耐えられたなら私の前に連れてきて」
「はい、それでは」
「よろしくね。……さて、どれ程楽しませてくれるかしら」
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「…………道は続くよどこまでも」
あの部屋から出てかれこれ5分ほど廊下を真っ直ぐに歩いているんだが、一向にそれらしい部屋や出入り口が見つからず永遠とこの赤色の薄暗い道が続いている。
てか誰にも会わないのは未だしも明らかに外観の館の大きさよりひと回りもふた回りも広いよね。可笑しくない?
(んー所々空間の縮小やら何やらの痕跡みたいなのはあるし、ここの住民が弄ってるんじゃないの?)
よく分かるな、そろそろこの赤色空間の見過ぎで目が痛くなってきた……。
(さっきまであんなにカッコいいだなんだって言ってたくせに)
カッコいいけど人間の俺の目には辛いんだよ、暗いのは凄く安心感があるんだけどね。
(流石元引きこもりね)
喧しい、今は違うだろうに。
(……過去は消せないよ)
何でお前が凹んでるのさ?
(いやうん……誰しも思い出したくないことはあるんだよ)
と、いい加減にこの永遠に続くと錯覚する程長い道のりに飽きて無銘と会話していると前方に大きく広がる空間が見えてきた。
(この館のエントランスじゃないの?)
みたいだね、ここに誰かいるといいんだけど…………っ!?
"それ"は俺自身も認識できず、気付けば無銘を引き抜き横に振っていた。カキン!と金属同士が激しくぶつかった音が暗く赤いこの空間に響き、俺の足元に無銘で弾いたモノが転がる。
「………ナ、ナイフ?」
(え?)
ポカンとしたままそのナイフを見てみれば明らかに用途が私生活で使う様な物では無く、命を刈り取る形をした凶器の類でそれが急に現れた事に困惑しつつ投げられたであろう方向に顔を向ける。
「ってちょ!?」
向けた瞬間に先程と同じナイフが2本3本と連続で現れ這い蹲る様に避けつつ、このナイフを投げてきているであろう相手から死角になる影に転がり込む。
焦った……!マジで焦ったよ、明らかに敵意と殺意が篭ってたから身体が勝手に反応してくれたけど、正直もう避けれる気がしない。
(あ、あのさ信?)
何さ?出来れば今の状況の解決策とか思いついてくれてるなら嬉しいけど
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