第二問 バカとクラスメイトと悩み事(3)
「あ、八幡! やっと見つけたよ!」
あの後少し気になって探してみたら、いつも通りの場所で本を読んでいた。やっぱり八幡はよくここに来るよね。お気に入りの場所なのかな?
「…………なんだよ、吉井」
「すごいよ八幡。今物凄く目が腐ってる」
「これはいつもだ。余計なお世話だ」
溜息をつく八幡。
確かにいきなり目が腐ってるって言ったのは割と失礼かなぁって思わなくもないけど、そうでなくてもなんとなく歓迎されてない気がするんだよなぁ。
「HR始まっちゃうよ?」
「その時間くらい分かるっての……」
「どしたの? なんでそんな不機嫌そうなの?」
「なんでもねぇよ……」
それはなんでもある人の発言のような気がするよ。
「鉄人怒らせたら怖いよ?」
「鉄人って、西村先生のことか……?」
「うん。トライアスロンとかやってるんだって」
「マジでやってたのかよ……」
なんかポツリと八幡が呟いている。
「他にも、怒らせたらまずい先生の中には、平塚先生っていう女の先生もいるよ」
「平塚先生? ……てか吉井、お前無駄に教師について知ってんのな」
「雄二と一緒にバカやってたら色々目をつけられちゃってね……平塚先生からも鉄人からも目をつけられちゃってるところだよ……」
「そりゃご愁傷様。大半が自業自得だけどな」
「あ、そういえば平塚先生は八幡のことも気にしてるようだよ?」
「え、なんで」
あ、これマジで嫌そうな表情だ。
見知らぬ先生に『気にされてる』って言われるのは割と嫌なことなのかもしれない。
「なんか、先生方の話を聞いて、『社会に適応出来なさそうだな……』とか言ってたらしいよ」
「別に社会に適応しなくてもいい。俺の夢は専業主夫だからな。外に出なくても普通に生活出来る力があれば、社会に出なくても構わない。故に俺は問題ない」
「ん、んん?」
なんか八幡がドヤ顔しながら難しいこと言ってる気がするぞ。頭から煙が出そうだ!
「……お前、やっぱバカだろ」
「なんでさ!?」
「いや、なんつーか……もう話の最初の方で分からなそうな顔してたぞ」
実際八幡が難しい話をし出したから、ほとんど理解出来なかった。いやぁ流石は八幡。とても頭がいいんだね!
「って、そんなことを言いに来たわけじゃないんだよ!」
「なんだよ……」
面倒臭そうに睨んでくる八幡。
けど、これはどうしても言わなくちゃいけないことなんじゃないかなって思ったから。
「由比ヶ浜さん、八幡と仲良くなりたいって言ってたよ?」
「由比ヶ浜? 誰だそれ」
この人は本気で言っているのだろうか。
「クラスメイトだよ!? 胸の大きな!!」
「お前女子のこと見る時第一に胸で見てるのかよ……」
「そうじゃないけど、おっぱいなんだよ!」
「更に発言がバカになってるぞ」
溜息を吐く八幡。
そんなにおかしなこと言ってるかなぁ。
「つか、仮にそいつがいたとして、なんで俺と仲良くなりてぇんだよ。少なくとも俺はそいつのこと全くしらねぇし、第一俺はぼっちだぞ」
「八幡にお礼がしたいって言ってたよ? 八幡が何かしたんじゃないの?」
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