+3 記録 会議 新聞
███:……ああ、でもそういうホラーとかが好きだからってアイツが犯人だとか言うつもりはありません、警察の人にも何度も言ったけれど……家にも行ったことがありますが、端から見ても家族との仲は良かったと思います、そういうのはなかった、と思います、だから俺信じられないんです、未だに。
<録音終了>
数度のインタビューの後、████の学校関係者全員に記憶処置が行われました。
現在財団の収容下にあるSCP-███、SCP-███、SCP-███、SCP-████の情報を████が正確に把握していたかについては調査中です。
████の制作した物品からは異常性は確認されず、この事と事件記録193267-1との関連性は未だ不明です。
写真の中には幾つかの絵、粘土細工が収められている。
目だけがよく彫り込まれた猫のようなもの、顔を隠している怪物、電球を踏み壊すハイヒール、テディベア、エトセトラ。
それらは彼の担任教師が偶然撮影し、保管していたものだった。
正直それ自体の出来は拙いとは言えるし、これらの絵や粘土細工に異常性は確認されなかったが、どこか鬼気迫るものを感じてしまうのは気の所為ではあるまい。
何故なら、我々はそれに既知感を覚える様に教育されているからだ。
口々に漏れた呻き声が会議室を揺する、対応する班が拡大されこの事案に対して初めて触れる職員がいたからだろうか。
しかしこんなものは序の口に過ぎないだろうという諦観が存在した。
「これを例の人物が?」
あるエージェントが眉を顰めてそう言った、その一般人は何らかの不死性を発揮し、姿を晦ましているからだった。
視線を戻せば、それらの絵や粘土細工には我々の、財団のシンボルが刻まれていることに目眩がする気持ちだった。
見間違いようがない、████は知っている可能性が非常に高い、これらが一体どんな存在で、どこにいるのかを。
何もかもが暗闇の中にあるように気持ちが悪かった、████は何故それらを知っているのか。
「どういった経路で……」
「これを見ろ、我々のセキュリティは意味をなさない」
「ミーム汚染に抵抗がある可能性もある」
「生類創研との関係まで疑わなければならんぞ」
その線は潰されたと見ていい、要注意団体及び要注意人物との関係性を浮かび上がらせるために惜しみない調査が行われたものの何もかもが空振りに終わっていた。
逆に████がどこにでもいるような学生であるという事を証明してしまっただけで、その異常性がより強烈に映るだけだった。
財団の機密を幾つも知り、不死性を発揮する存在が野放しでいいわけがない。
全くの白紙から浮かび上がってきたこの異常な人物の身柄が、財団と敵対的要注意団体に渡った場合は簡単に想像できる。
利用されてしまえばそれは財団に対する致命的な攻撃にもなりうる、一度収容違反が発生し、財団という檻が壊されれば流出する異常存在によって我々の知覚できる世界は何百回でも滅び去るだろう。
恐らく████はこれ以外にも財団に収容されている異常存在の姿、特性を熟知している。
いや、現在財団に収容されていない異常存在の情報すら、把握しているかもしれない。
これらの写真の中には我々の知らない幾つかの存在と物品が財団のマークが刻まれた上で
絵や粘土細工として残っている。脅威でしかなかった。
[9]前 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:2/3
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク