ハーメルン
転生者vsSCP
+1 薄緑

他にも手がかりは幾つも残されている、それらを頼りに辿っていくしかない。
また、こうも考えられた。
対象がこの事件によって自らの異常性に初めて気づいてしまったかもしれないと。
自分が周囲から隔絶した存在であると知った時の人間の反応は様々だ。彼は知っている。
ただの一般人がもしそうなった場合、自暴自棄になったら、ということも考えなければならない。
現場からの逃走ということは、自宅へと帰ったという見方が妥当なように彼には思えた。
学生というからには学生服を着込んだ若い見た目をしていたのだろう。
本当に対象が若かった場合、自分に訪れた好ましからぬ変化をどう思うだろうか。
拒絶か、驚愕か、寛容か、あるいはその全てか。
人間というものが、自らの常識の尺度を超える現実に遭遇してしまった場合、精神そのものが常識へと戻ろうとしてしまう事がある。
これが、そうなのかもしれない。
今頃、家に帰り、自室のベッドで世界を拒絶するように布団に包まり、対象は自らに起こった変化に戸惑い、怯えているのかもしれない。
だが、もう、何もかも遅い。……確保、収容、保護だ。
自らの遠い過去を脳のどこかで思い出しながら、エージェントは指示を出し、チームを動かしていく。

「4tトラックの直撃にも無傷で耐えられる人型実体だ、機動部隊ですら手こずる可能性があるが身柄を押さえなければいけない」

「まず監視カメラを虱潰しにしろ、必ず映っている、野次馬共の携帯を回収しろ、幸いなことに我々に知覚できないということはないらしい」

「特事課との連携を密にしろ、連絡要員を張り付けておけ、彼らは慣れている」

「近隣の中学校、高校の記録を参照しろ、制服から学校だけでも特定する」

捜索が、彼らの戦いが始まった。
それがすぐに終息に向かうことを誰もが願っていた。



事件記録193267-1 映像資料い-2

付記:事件193267-1発生直後、携帯端末によって撮影された映像である。

[再生開始]

[雑音、現場周辺のアスファルトを映している]

撮影者:誰か轢かれたのか?人が轢かれたぞ!

[カメラが向け直され、大量の血液が飛散している事故現場及びトラックが映る]
[女性の悲鳴、数秒間の子供の笑い声]

撮影者:誰か救急車を!

[トラック周辺に靄が発生し、映像の解像度が極度の低下を示す]
[数秒間の子供の笑い声]

撮影者:大丈夫か君!?

[撮影者の声に反応する素振りを見せないまま、損傷が見られないSCP-████が立ち上がる]
[数秒間の子供の笑い声]

撮影者:火だ!燃えてるぞ!

[靄をトラックの出火と誤認した撮影者が遠のき、SCP-████が画面外へと消える]
[複数人の悲鳴、十数秒間の子供の笑い声]

[再生終了]



当初からSCP-████の異常性の分類について議論が交わされましたが、██博士の提言により、事故現場においてカント計測器が用いられました。
その結果、現場におけるヒューム値は事件後█時間が経過したにもかかわらず███Hmという値が計測され、これによりSCP-████が現実改変者である可能性が考慮されました。

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