ハーメルン
紗夜のBはBitchのB!
Fの牙城/青いバラの瞳

「でも、終わる時間が分からないというのは事実よ? それなら、その時間も一緒にいたい、というのは乙女心じゃありませんか?」
「……勝手にしてください」

 それにしても、紗夜さんにしては回りくどいですね。いつも直球勝負、100マイルオーバーの豪速球放ってくる紗夜さんにしては、これはまるでゆったりとして手元で曲がってきたみたいな驚きがある。

「それで、何処に連れ込まれるんですかね?」
「保健室です」
「やっぱ帰ります」
「冗談ですよ、それに先生や保健委員がいるのにセックスなんてできませんよ」

 ああそう、つまり逆を返せばいなかったらセックスするのか。
 冗談を挟みながら案内されたのは生徒会室。どうやら連名を見るに生徒会長は紗夜さん側っぽいな。多分仲がいいんだろう……一体どんなビッチが出てくるのか。もしかしたら紗夜さんとは対照的な、見るからに肉食系女子か? 

「……失礼、します」

 鬼が出るか蛇が出るか、そんな心持ちで扉を開くと、そこには、誰もいなかった。
 出払ってるのか? と訝しむと紗夜さんは呆れ顔で白金さん、と部屋の奥まで進んでいった。

「言った通り連れて来ましたから、隠れてないで出てきてください」
「……ひ、氷川、さん……でも」

 紗夜さんについて奥を覗くと、そこには同じように夏服に身を包んだ、美少女がいた。
 たぶん日本人の男性全員にどう思うかと訊いたら99.9%の男が好意的な感情を抱くだろう美少女。サラサラの黒髪ロング、小さな顔に大きめの瞳、薄桃色の可愛らしい唇。
 ──そして、なによりも目を引くのが、紗夜さんより小柄なのに、人目でわかる巨星。童貞たる俺にはサイズを目で測る技術なんてありはしないからでかい、しか言えないけど、でかい。いや、でかい。というかこの子、めちゃくちゃ見たことあるんだけど。

「ひっ……あ、あの……っ」
「カンベさん、滾らせるなら私にしてください。白金さんが困っています」
「滾ってないし」
「視線が胸を見ていますよ」

 バレてる。そんな紗夜さんがオドオドとまともに目も合わせられないその子の代わりに紹介してくれた。その名前にやっぱりそうか、と俺は納得した。
 ──白金燐子さん。花女生徒会長は、紗夜さんと同じRoseliaの一員だ。担当はキーボードで、その滑らかな指から放たれる超絶技巧は、わかるやつ曰く、ピアニストのそれなんだと。よくわかんないけど、俺としてはそんなステージに立って凛とした表情をする彼女とは似ても似つかない様子だから、最初は別人かと思ったよ。

「白金さん、コチラがカンベさん」
「……あなたが」
「はい、本名は違うんですけど、ベースのカンベって言えば、わかりますか?」
「……はい、名前は良く、伺っています。どんな方なのかも」

 紗夜さん……じゃないか。俺のことをペラペラしゃべるのは違うやつだな。まぁ、そんなことはいいんだけど、小さな声で、途切れ途切れにしゃべる彼女は相当な人見知りなんだなってことはわかった。よく生徒会長やってますね。

「それでは、私は残った仕事をしてきますので、白金さんも作業を続けていてください」
「は、はい……って、ひ、氷川さん!? か、カンベさんは……?」
「出歩かれては困りますので、そこに置いておきます」

 おい、俺はモノじゃないんだけど? あと出歩かれて困るなら敷地に入れること自体ナンセンスなのでは? 

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