第5話 ティターンズ VS ジオン残党
アレキサンドリア級『アル・ギザ』とサラミス改級『セイロン』は、暗礁空域に逃げ込んだジオン残党を追跡している。
サラミス改級『セイロン』は、アレキサンドリア級よりも先行して船を進めていた。戦艦やモビルスーツの残骸が多い暗礁地域での捜索は簡単にはいかない。
「艦長、チベ級重巡洋艦が反転しました。速度を維持したまま本艦に接近しています」
「オペレーター、チベ級を視認しているのか?」
「いえ、まだチベ級を視認できていません」
ルーカス艦長はほほえんだ。いよいよ決戦の時が来たと確信したからだ。
「追いかける手間が省けたな。打って出るか」
「ECMを最大発信。セーフティロック解除」
オペレーターが艦長に顔を向けた。艦長は次々に指示を出している。
「残り1分で有効射程距離に入ります」
「チベ級がいる方向にビームを撃て。砲術科は腕の見せ所だぞ」
オペレーターが艦長に現状を報告した。サラミスとチベは互いにビーム砲を撃ち合っている。
「チベ級がミサイル発射、12発も来ます」
「ええい、対空機銃を撃て。弾幕を張れ」
「撃たれたら撃ち返せ。反撃だ! 」
乗組員はブリッジ員に話しかけていた。その顔には余裕が感じられず、焦りの表情を見せている。
「軽巡洋艦が重巡洋艦相手に戦うのか」
「軽トラにダンプがぶつかるようなものだな」
「きっとろくな結果に成らないぞ」
チベ級から放たれたミサイルがサラミスの右舷に命中した。ブリッジ員も体を大きく揺すられている。サラミス改級は第2弾のミサイルを回避しながら、メガ粒子砲を30秒ごとに連射している。
ルーカス艦長はジオンの腕前に感心していた。艦長は決して慌てずに落ち着いている。
「ジオンの亡霊もなかなかやるらしいな」
「だが、ミサイル1発で軽巡洋艦は沈まんよ」
「副長、被弾状況を知らせろ。報告は短く簡潔に」
副長が被弾状況を艦長に報告している。艦長は少しも焦ってはいない。艦長はずれた帽子を被り直した。
「サラミスの右舷に被弾。被害状況は微小です」
「被害状況を確認した。空気漏れはないか? 」
「艦内の空気漏れはありません」
「ところで艦長、味方の到着を待たないのですか? 」
「状況は本艦に不利だな。サラミスでは火力が足らない」
「副長、アル・ギザに応援を求めよう」
艦長はアレキサンドリア級『アル・ギザ』に助けを求めようと行動を起こした。
「通信長、信号弾を用意してくれ。アル・ギザに本艦の場所を知らせる」
「それと同時にレーザー通信の用意も頼む。回線開け」
艦長は『アル・ギザ』にレーザー通信を繋いだ。その左手は電話を強く握りしめている。
「こちら、サラミスのルーカス艦長だ。アル・ギザの艦長に通信を繋いでくれ」
「私がアル・ギザの艦長だ。用件は何だ?」
「ジオンから攻撃を受けている。救援を依頼したい」
「了解した。モビルスーツをそちらに派遣する。ベイト大尉率いる第6小隊を救援に行かせよう」
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