彼の名はジョルノ・ジョバァーナ
生まれ持った力“個性”。原因は不明だが、中国で光り輝く赤子が生まれたのをきっかけに人間にはあり得ない力を持った人間が生まれ始めた
現代の人類の8割以上が“個性”を生まれ持ち、それにより社会は大きな変革を遂げた
“個性”による恩恵で人々の生活は潤った……しかし輝かしい『光』の裏では、おぞましい『闇』が誕生していた
個性社会の黎明期、ある男が生まれ落ちた。名はディオ・ブランドー。“吸血鬼”という個性によって若々しい肉体のまま100年以上の時を生き、そして多くの生命の血と命を奪い尽くした。“個性”を奪い与える能力を持ったオール・フォー・ワンに並ぶ伝説のヴィランである
世界有数の財団、スピードワゴン財団の創始者曰く「ゲロ以下のにおいがプンプンする」「生まれついての悪」と称されるほどの邪悪な存在であり、その悪のカリスマで人間を魅了し、堕とし、世界を支配しようと目論んでいた
「DIO」は多くの血を吸い、血と共に摂取した個性因子(“個性”を持つ人間の体内にある因子)が混ざり合わさった結果「時を止める」という恐ろしい能力をも身につけ、もはやDIOを倒せる者は誰もいなかった
しかしある時を境に、DIOの消息がパタリと途絶えた。唐突な悪のカリスマの消失には様々な憶測が飛び交った
曰く『海底深くに沈められた』
曰く『宇宙に追放された』
曰く『スピードワゴン財団お抱えの人間によって暗殺された』
曰く『幽霊に連れ去られた』
曰く『永遠に死に続けている』
曰く『未来の世界に飛んでいった』
どれも信憑性のない仮説だった。1つ確かなことは『DIOに怯えることはなくなった』ことだった
そしてDIOの消失から15年の月日が経った
1人の少年の黄金のような物語が幕を開ける
“雄英高校”
偉大なるヒーローを生み出した学び舎とも言えるその学校は、多くのヒーローの卵たちが目指す目標である。そして今日はその雄英高校入学試験の日であった
ザッ…
多くの受験生が雄英の門をくぐる中、雑多の外から少年が巨大な雄英の校舎を見上げていた
胸元が大きく開かれ、テントウムシのブローチをつけた改造学ランを着込んでいる。髪は伸ばして後ろで編んであり、何よりコロネを頭に3つ乗せたような特徴的な髪型が太陽の光で金色に輝いていた
「君、ウチの受験生かい?」
そんな少年に話しかけたのは試験会場への案内人だった。胸ポケットには高級な万年筆が入っている
「はい、ヒーロー科の受験を」
「やっぱりか。ここを受ける子供たちはみんな目が輝いているけど、その中でもヒーロー科を受ける子は一際輝いている。君もヒーローになりたいのかい?」
「昔、ヒーローに助けられたことがありまして…」
「そうか。ヒーロー科の試験説明は向こうの建物を入って右に曲がり、左っ側のドアを入ると辿り着く」
左前のドーム状の建造物を指差しながら試験会場への道筋を案内する。残りの手の人差し指を空中で撫でると緑色の線が引かれ、それで道筋を描き出す。これが男の“個性”なのだろうと少年は考えた
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