03
「フッ」
短く息を吐き、素早く打ち出した拳が空気を引き裂き葡萄のような形をしたノイズを貫き爆散させる。
「ラァッ!」
鋭い蹴りがノイズを横へと両断し、高くあげた踵を勢いよく振り下ろし地面を陥没させるほどの衝撃で纏めてノイズを吹き飛ばした。
「やはり数が多いな」
場所はどこかの工場内。
その敷地はかなりの広さで、マスク越しでもわかるほどのオイルや薬品の匂いで火気厳禁だと思いつつ飛びかかってきたノイズへ裏拳を叩き込む。
かれこれかなりの数を倒したが、元気が衰える様子のないノイズたちに軽く鬱陶しくなってきた。
だが奴らを野放しにできないために作業とも言える駆除を繰り返す。
長い間こうした害虫駆除みたいなことをしてくると、もはや悟りの境地に至りそうだと思いつつ力を込める。
「仕方ない。 一気に決めさせてもらおう」
呟き、右手を横へと掲げようとした時にコーカサスゼクターが声を発する。
───気をつけよ総司。 上からなにか来るぞ
「む?」
掲げた手をおろし、アイロンのような手で殴りかかってきたノイズの攻撃を受け流し、短い足をひっかけ体勢を崩した所に手刀で地面諸共貫き消滅したところで迫る気配へ視線を向ける。
見えたのは空高くに滞空していた戦闘ヘリから飛び降りるふたつの乙女。
感じるのはフォニックゲインの奔流。
荘厳なる星星の煌めきの中で2人の歌姫がその歌を口にする。
絵画のような場面にマスクの下で息を飲む。
「"Imyuteus amenohabakiri tron"」
「"Croitzal ronzell gungnir zizzl"」
落下する2人の歌姫を光が包み、純白のプロテクターが装着され華麗に着地する。
清廉にして荘厳なる美しき戦姫。
これがシンフォギア……
───ほう、まさかここで奴らと遭遇するとはな。 どうするのだ総司?
不敵な声に飛来してきた飛行型ノイズの攻撃をカウンターの回し蹴りを放ち、蹴り砕きつつ答える。
「どうでもいい。 掃除の邪魔をしなければな」
───フッ、それもそうだな
「おーおー、相変わらずの蹂躙ぶりだなー」
こちらに目もくれず戦い続ける重装甲に身を包んだ戦士を見ながらシンフォギア "ガングニール" の装者、天羽奏は笑みを浮かべながら口を開く。
「それで、どうする翼? 一応ノイズ残ってるけど」
「ええ。 だけど彼には捕縛命令が下されている」
もう1人のシンフォギア "アマノハバキリ" 装者、風鳴翼の声に総司は少しだけ意識が向いた。
──当然そうであろう? ノイズには本来なら奴らの用いる聖遺物で倒せるというのが共通の常識。
だと言うのに別の手段で倒せるものがいるというのならなんとしても捕まえたくもなる。
それもそうか。
本来、ノイズには物理攻撃を無効化する位相差障壁がある。
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