煙
体を再生させながら、ベンチに座って缶コーヒーのタブを開く。
冷えたコーヒーとタバコが疲れ、荒ぶった心を沈める。
俺にとって食事は娯楽と変わらない。死んでる俺が栄養失調になったり病気にかかることはないからな。正直身体的疲労もないから寝る必要すらない。でも何か食べたり、飲んだり、眠ったりしないと心まで人間じゃなくなってしまう。そうなったら嫌だ。俺は人間なんだ。例え死んでいても、息をしていなくても、体が冷たく只の人形と変わらないとしてもだ。タバコだって俺が俺自身を生前と変わらないと思いたいがためだけに吸っている。まぁ吸うと落ち着くから吸っているって言う面もあるけど。
「いかんな、俺らしくもない」
あーあー型の稽古でもするか…
俺は雑念を払うかの如くタバコの火を消し。仮眠を取ってる蝙蝠を叩き起した。
蝙蝠は生きている。俺と違って、疲れている所は見たことないけど。でも寝なきゃ疲れるし、血を吸えなきゃ死ぬらしい。身体の不調は切れ味にそのまま影響を与えるらしい。俺よりこいつのがよっぽど人間らしいな。まぁ俺の半身だし元々俺の人らしさを蝙蝠が吸っていったのだろう。
俺はネガティブな事を振り払うかのように蝙蝠を強く引き抜く。
(主よせめて一声かけて欲しい。突然起こされると頭が痛くなってしまう)
痛いのか?てか頭なんてないじゃねぇか
(気持ちの問題である。痛くなることは無かったが気を付けて下され)
悪ぃ悪ぃ気を付けるよ
んーまぁこんなもんでいいだろ。俺は2時間弱で型を終わらせて公園を後にした。
集中が続かないのも考えものだよなぁ。蝙蝠との手合わせが終わってからの、型やら素振りやらは自主練の類だしなぁ。型だって蝙蝠が動画みてそれを蝙蝠が記憶して俺に教えてるからなぁ。まじこの子優秀すぎん?
そういやタバコ切らしてるわ。買わなきゃ
俺は家に帰る足を止めて、コンビニまで歩き出した。
まじでここらへん怪人出なきゃ静かなんだよな…「我が名は最強の怪人ゴリラガラスすすすすすすす」せっかく静かだって言ったのに静かじゃなくなった。
俺は既に切り伏せた怪人に蝙蝠を突き刺して協会に討伐報告した。
コンビニコンビニ。タバコタバコ。
怪人に刺さった蝙蝠を抜き取り目的地へ急ぐ。
ティロリロリロ
「しゃっせー」
「27番4箱下さい」
「お値段合計で1800円でーす」
「あっしゃしたー」
俺はそこまでヘビースモーカーって訳でもないから4箱あれば1週間は持つ。たまに考え事しすぎて多めに吸う時あるけど基本1日6本程だ。
俺が外で一服してから帰ろうとすると男たちが汗垂らしながら店に駆け込む。
強盗じゃありませんよーに。「強盗だー!!!売り上げ全部寄越せ!早くしろ!」
ohJesus
勘弁してくれよこっちはニコチン切らしてイライラしてんのによォ
俺はコンビニに入って強盗を刀で威嚇する。
「おい。大人しく出頭しろ逃げれると思うな。」
「えっS級の首切りじゃねぇかっ!なっなんでこんなとこに!?」
「黙れ。そこを動くな…切るぞ」
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