其の一: 「転生者は人生の選択肢が見える」
スパン、
まるで豆腐を切ったように簡単に義父の頸は飛んだ。…アレ、人間の頸ってこんな簡単に飛ばすことができるものだったか。ポトリと義父の頭が地面に落ちる様を見ながら自分の首を傾げる。だが、その疑問も義父の発言のせいで全て吹っ飛んだ。
「くそくそくそ!! こんな小娘に! 何故俺が殺される?!」
「おとうさ、」
「呪ってやる! 呪ってやる! 貴様に『呪いをかけた』!」
「はっ?!」
「上弦の鬼――鬼の中でも最上位の鬼を一体でも殺さぬかぎり、お前は二十五歳で死ぬだろう! その『目』が呪いの証。お前の中に俺は生き続ける!」
「ちょっ、待って、待って?!」
「精々、醜く生きろ! ひゃっひゃっ……、…………ご、め…」
だから、ちょっと待てって言ってんだろうがァ!!
日輪刀に切られて蒸発した義父を唖然としながら見送る。色々と情報過多すぎて処理が追いつけない。今、義父は何つった? 上弦の鬼を一体でも殺さないと二十五歳で死ぬって? 今、私は十歳なんだけど後十五年しか生きれないの? マジで??
(いや、無理だから?!?!)
どれだけ上弦の鬼が強いと思ってんだ! 鬼殺隊の精鋭達が中々勝てない相手だぞ。それどころか死んでるやつもいるんだぞ?! あの人間辞めてる鬼殺隊の中でも最上位の柱達でさえ手こずる相手に、私が勝てるとでも? 無理だよ!! 思わずフラッとなり私は頭を抱えた。本当…今世辛すぎでは…??
(本当どうしてこうなってんだろうなあ…どうしておとうさんは最後に謝ったんだろうなあ…)
泣きそうになりながら私は立ち尽くすしなかった――――…。
その後、私は義父の攻撃により気絶していた鬼殺隊隊士さんによって回収された。彼は私の手にある己の日輪刀を見て酷く驚いた顔をしていたものだ。当たり前だろう。まさか鬼退治の本職でもないただの少女が鬼を倒したのだから。彼は真剣な表情をした後、こう言った。
「鬼殺隊に入らないか?」
いや、いいです。遠慮しておきます。
しかし、その言葉は口から出ることはなかった。隊士さんに勧誘された瞬間、目の前にゲームの選択肢が登場したからだ。しかも、入隊拒否の選択肢には『死』の文字が隣についていたのである。
おかしくね?? 明らかに入隊した方が死亡率あがるよね?? さっきから同じことをずっと言っているが、はたして本当にこの選択肢を信じて良いのだろうか…。いや、でも、強くならなかったら上弦の鬼を倒せず、二十五歳で死んじゃうから選択肢は合っているのか…?? 鬼殺隊になればその分、上弦の鬼を殺せるような強さが手に入りやすくなるし…。ああ、分からない…。
遠い目をしながら私は隊士さんの手を取った。こうして私は鬼殺隊に入隊することに決めたのである。
余談だが、義父に呪いをかけられた瞳は見事な青緑色になっていた。しかも、あり得ないことに髪も黒から白髪になったんですが…ええ…なんで…?? 黒と青緑のオッドアイに白髪とか、どう考えても中二病ですどうもありがとうございました!! 辛い。
《ピロリン》
▼称号『呪われた娘』を手に入れました
▼特殊能力『鬼の目』を手に入れました
…ほんと意味わかんねえなコレ…。目の前に出てきた謎の称号や特殊能力に頭を再び抱える羽目になった。
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