ハーメルン
氷柱は人生の選択肢が見える
其の二: 「氷柱に至った理由」(7/7時点:抜けていた話分を追加)

こうして私は鬼殺隊に入隊することを決めた。

だが、鬼狩りになると決意しても力がないのでは意味がない。ということで、私は義父と戦闘した隊士さんに育手――鬼狩りを育てる先生を紹介してもらった。

私に紹介された育手は氷の呼吸の使い手で、現役時代の階級は甲の人だった。ちなみに、『甲』は柱以外の一般隊士に与えられる階級では最上位のものである。こういうのって主人公よろしく元柱に育成されるものかと思ったが、ここは現実。恐らく、元柱の育手直々に鍛えてもらえるのはほんの一握りだけなのだろう。モブの私にはそんなチャンスないってことですね、分かります。

(でも、私、ゲームの選択肢が見えるようになったし、楽に修行をこなせるかな…)

その考えは師範との修行が始まった瞬間、木っ端微塵となった。何故なら修行中、ほぼ選択肢が登場しなかったのだ。選択肢が出てくるのは余程の緊急事態か、修行が終わった後の師範との会話のみ。あの謎の機能はまるで役に立たなかった。こういう時こそ出てくるべきでしょ?!

しかも、残念なことに私に剣士の才能はあまりなかった。

師範曰く「真面目なお前なら鬼殺隊で剣士としてだけなら中堅程度にはなれるが、どう逆立ちしても柱などにはなれぬだろう」とのこと。いや、分かってたさ。凡人の私は主人公クラスにはなれないってことはさ?

(でもな? 死ぬんだよ!! 上弦の鬼を倒さなきゃ二十五歳で死ぬんだよ!!)

泣いた。凄く泣いた。どうして義父はここまで難易度の高い呪いを押し付けてきやがったのか。ふざけるんじゃねえ。挫けそうになる心を奮い立たせ、暴言を吐きながら剣を振るったものだ。

――――そして、三年後。

私が十三歳の時に師範から最終試験の受験許可が下りた。マジで行きたくねえと思ったが、二十五で死ぬ辛さを考え、私は試験を受けることを決意。私は長らく世話になった師範に礼を言い、旅立った。

ガクガクブルブル震えながらも試験を受け、合格。かくして私は正式に鬼殺隊隊士となったのだ。

その後もあの憎っくき選択肢のおかげで順調に階級を上げていき、柱を除く一般隊士の階級では上から三番目の『丙』となることができた。中々順風満帆な鬼狩りライフである。まあ、いつも骨を折るような大怪我ばかりしているので正直身体がもたないヤバイ状態だがな! 原作で『柱になるには早くて二年、通常で五年』と書かれていて、前世の私は「結構早く柱になれるんだな」と思ったが、鬼殺隊所属の今なら分かる。

(みんな、二〜五年で死ぬか、辞めるんだ)

一回の鬼との戦闘だけで骨を折るのは当たり前がこの戦いの現実である。若くても毎度毎度骨を折れば必ず身体にガタがくる。その上、人間は鬼とは違って、少し右足に傷を受けただけで切られどころが悪ければ一生足が動かないなんてザラにあるのだ。一瞬の気の緩みで剣客としての人生が終わる。だからこそ、皆、二〜五年程度で辞めてしまうのだ。

(辛すぎ。ほんとなんでこんなところ入隊してんの)

一向に上弦の鬼を倒せる気がしないしさ。本当はこのまま鬼殺隊を辞めて、原作で炭治郎達が上弦の鬼を倒す場面に横入りだけをしたい。でも、実力がある程度なければその所業もできないのだ。圧倒的な実力差がある上弦の鬼と主人公や柱の間に今の状態では入れる気がしない。だから、もっとこの隊で力をつける必要がある。ここには色々と教えてくれる人もいるから。

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