其の八: 「離席」
(ああああどうしようどうしよう。柱の私がここにいれば確実に巻き込まれる。絶対に十二鬼月と戦う羽目になる)
恐怖で胃がキリキリとしてきた。周りの音や感覚を遮断してグルグルと頭を回転させる。仮病を使うか? だが、炭治郎や善逸なら匂いと音で嘘だと分かってしまう。それとも別の任務が入ったというか? いや、真菰が私の大体のスケジュールを把握しているので直ぐに論破されてしまうだろう。緊急事態に弱い自分の頭では考えても考えても下車できる方法が直ぐに思い浮かばない。なんとか落ち着こうと外を見て――――私は固まった。
あれ、なんか列車――――動いてない?
伊之助が「うおおおすげえええ速ええ」と騒いでいるのを尻目にぽかんと口を大きくあける。彼が開けた窓から風が自分へと吹き付けてきた。伊之助の隣にいた善逸は私に怒られると思ったのか、「早く窓を閉めろ窓を!!」と必死に伊之助を引っ張っている。それを視界に入れながら私は内心で絶叫した。
煉獄杏寿郎、乗り遅れやがったァーーッ?!?!
まさかの炎柱抜きでの『無限列車』が始まりを告げた。
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