ハーメルン
ラブライブ!9人の女神と鋼鉄の戦女神
第9話『終わりと始まり』

「インドミナス…」
涙を浮かべるあかりを抱いて慰めるのはこれまで一緒に戦ってきた戦友―ヴェルだった。
「君はインドミナスを…最後に苦しみから開放して救ったんだ…」
ヴェルはあかりを抱き締め、あかりはその中で涙を流して泣いていた。
ヴェルはそんなあかりを優しく撫でつつ視線をレクシィに向ける。
人間に憎しみを抱くレクシィが自分達やオーウェン達を襲わないとは限らない。
「誇り高き王―レクシィよ!」
ヴェルの声にレクシィは静かにヴェルを見据える。
「君には私の言葉が分からないかもしれないが言わせてくれ!
人間がこれまで君にして来た事は許される事じゃないのは分かっている!だけど、身勝手だとは思うが私の願いを聞いてほしい!
どうか彼らを…此処にいる人達やラプトル達は見逃してほしい!頼む!どうか…!」
その言葉の後、ヴェルを見据えていたレクシィは彼女に背を向けてその場を後にした。ヴェルのその願いが通じたのか…それともブルー達を共に島を守った同士として見たのか…戦い疲れて襲う気すらしなかったのか…それはレクシィのみぞ知る。

暫くしてデルタ、エコー、チャーリーも意識を取り戻し、ブルーと共にオーウェンの元に集まった。
「みんな傷だらけだな…手当てしてやらないとな」

ひとしきり泣いて漸く落ち着いたあかり。
「ありがとう…ヴェル」
「『どういたしまして』」
とヴェルはロシア語で返す。
立ち上がったあかりはふとある物を発見した。
「これは…インドミナスの歯か…さっきの戦いで折れ落ちたんだろう」
ヴェルの呟き通り―それはインドミナスの歯だった。
あかりにはそれがインドミナスが残した忘れ形見に思えて、大切に握り締めるのだった。
こうしてイスラ・ヌブラル島の長い1日は漸く終わりを告げた。


イスラ・ヌブラル島の避難所には昨日の時点でフェリーに乗れなかった観光客が大勢いた。
其処でザックとグレイが両親と再会したり、パークの職員やネスト隊員達は負傷した観客達の治療を行われており、其処から離れた場所―ラプトル達のパドックで職員達が片付けられている最中、あかり、ヴェル、ラプトル四姉妹は寄り添って眠っていた。
「微笑ましい光景だ。こうして見ると彼女達も年頃の女の子だ。兵士として戦っている姿が信じられない」
とバリーは暖かい視線で彼女達を見守りなが呟いた。
「本来なら兵士として戦うべきじゃない…“護られるべき立場”なのに彼女達はそうせざる負えなかったとは言え“護る立場”として戦っている。
だからこそ俺達は彼女達が出来るだけ自由に動けるようにサポートをするんです」
とレノックスは返し
「ちょっと失礼」
スマホを取り出してカメラに二人と四羽の顔が収まる位置に移動して、彼女達を撮影した。
「後で彼女達にあげるさ」
と言うレノックスにバリーも微笑みを浮かべる。
あかりの手にはインドミナスの歯が優しく握らていた。

その後、ネスト隊員の一人が調査結果などをレノックス達に報告する。
「―ホスキンスは死亡、インドミナスを作ったウー博士達は未だに逃走中です。
今後、インジェン社にはガサ入れを行う予定です」
ネスト隊員の報告の後、レノックスはオーウェンに問う。
「彼女達を―ラプトル達を今後どうする?」
それに対するオーウェンの答えは決まっていた。

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