ハーメルン
デート・ア・ライブ 指輪の魔法使いと精霊の恋愛譚
名前

ー???sideー

「おい。せっかく精霊が現れたって言うのに、このまま手を出さねえのかよ?」

「忘れるな、我々の目的は精霊を始末する事ではない」

士道達がいる来禅高校から少し離れたビルの屋上に、無精髭を生やし、赤系統の派手な服を着た粗野な風貌の青年とノースリーブのドレス姿に妖艶な雰囲気を持つ黒髪の少女。〈魔獣 ファントム〉である、〈フェニックスのユウゴ〉と〈メデューサのミサ〉が、精霊が現れた高校を見据える。

「ケッ、だが『指輪の魔法使い』に彷徨かれるのは目障りだろう? フンッ!」

ユウゴが手に持った何個もある灰色の石を辺りに投げると、その石から魔法陣が現れ、石が『グール』へと変身した。

「行けグール共! 『指輪の魔法使い』と、『小蝿』を始末しておけ!」

『ウゥゥゥゥゥッ!!』

グール達は、ビルから飛び降りて来禅高校へと向かった。

「おいミサ、本当にあの精霊がそうなのか?」

「『ワイズマン』はそう睨んでいる。私達は『ワイズマン』の意思に従うだけだ」

自らの『上位存在』の指示に、忠実に従うだけのメデューサに、フェニックスは退屈そうに欠伸をかいた。



ー士道sideー

精霊〈プリンセス〉とのファーストコンタクトにとりあえず成功した士道(&ドラゴン)。

《ーーー上出来よ士道。そのまま続けて》

「あ、ああ・・・・」

右耳から響く琴理の声に、頷く士道。すると、〈プリンセス〉が大股で教室の外周をゆっくりと回り始めた。

「ただし不審な行動を取ってみろ。お前の身体に風穴を開けてやるからな」

「・・・・オーケイ、了解した」

士道の返答を聞きながら、〈プリンセス〉がゆっくりと教室に足音を響かせていく。

「シドー」

「な、なんだ?」

「ーーー早速聞くが。ここは一体何なんだ? 初めて見る場所だ」

言って歩きながら倒れていない机をベタベタと触り回る。

≪コイツ、学校を知らないのか?≫

「え・・・・ああ、学校ーーー教室、まあ、俺と同年代くらいの生徒達が勉強する場所た。その席に座って、こう」

「なんと。これに全ての人間が収まるのか? 冗談を抜かすな。四〇近くはあるぞ」

「いや、本当だよ」

〈プリンセス〉は驚いたように目を丸くしたのを見て、士道は頬をかいた。

≪精霊が現れると大半の人間は避難するからな。ASTくらいしか見たことがないのだろう≫

「なるほど。なあーーー」

ドラゴンの言葉に納得した士道は、〈プリンセス〉の名を呼ぼうとするが、自分が知っているのは彼女の識別名の〈プリンセス〉なので、声を詰まらせる。

「ぬ?」

士道の様子に気づき、〈プリンセス〉が眉をひそめてくる。
そしてしばし考えを巡らせるように顎に手を置いたあと。

「・・・・そうか、会話を交わす相手がいるのなら、必要なのだな。シドー。ーーーお前は私を何と呼びたい」

「・・・・は?」

手近にあった机に寄りかかりながら、そんな事を言う〈プリンセス〉の言葉の意味がわからず、問い返す。
〈プリンセス〉はフンと腕組みすると、尊大な調子で続けた。

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