ハーメルン
喩え、この身が業火に焼かれても
少女の日記 No.4

γ月¶日


今日はFriskの誕生日だった。Friskも今日で一歳になる。これからどんどん遊んで、学んで、大きくなるんだろう。
…………そろそろ私も現実を見ようと思う。もう、逃げるのは止めだ。逃げていても時間が無駄になるだけなんだから。
もし、もし本当に私の妹が主人公だったとして、まだFriskは一歳だし、少なくとも五歳までは地下に行く事は無いと思う。幾らPlayerが居るからと言って、状況を彼処まで冷静に判断できるのは、普通の齢一桁の子供にはきっと難しい筈。でも、もしかしたらこの先何か事件や事故に巻き込まれて、精神が著しく成長してしまうこともあるかもしれない。小さな子供の純粋無垢な言葉だからこそ、彼らの心に届いたのかもしれない。それを含めて見積もっても五歳までは、ゲームが始まるまでの時間はある……と思いたい。ただの希望論であるのは分かってるけど……
残り最低でも四年。その間に、どうにかする手段を見つけなくては。そうしなきゃ、私の家族も、友達も全部消える。紛れもないFriskの手によって。それだけは嫌だ。妹を殺人犯にしてたまるものか。


私の宝物は誰にも奪わせない。絶対に。



私がFriskを救わなくては。



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κ月%日



今日でFriskは二歳になる。沢山言葉を話すようになったし、私にも良く懐いてくれている。遊びには必ず誘ってくれるし、手を繋いでくれる。たまに母さんや父さんの所に行ってしまい、両親にちょっと嫉妬してしまう。我ながら随分とシスコンになったものだ。あんなにもFriskの事を恐れていたのに。
………Friskの成長が喜ばしい反面、どうしても時間が残り少なくなってきてるのを感じて、どうしても素直に喜べない私がいる。
あと、残りは少なくとも三年。まだどうするべきなのか、具体的な考えがまとまっていない。取り敢えずは情報収集ともしもの備えとして身体能力向上に力を入れてみたが……。
身体能力向上についての報告としては、最近は走り込みの距離を増やしてみたり、公園の遊具で筋トレらしきものをしてみたりしている。上手くいくだろうか。
情報収集の方は、あまり上手く進んでいない。どうしてもEbot山に関する情報が少なすぎる。未だに噂話程度の情報しか集まっていない。どうも子供が行方不明になるのは六十年から七十年の単位なようで、流石にそこまで古い新聞記事などが見当たらない。唯一救いなのは、Ebot山で子供が行方不明になったというニュースがないことか。

どうすればいいのだろう。未だに根本からどうにかする術は見つかりそうにない。

………希望論なのは分かっているが、もし、Playerなど存在せず、あくまでFriskが自分の意思で選択を行うのだとしたら、間違ってもFriskがGenocideに走らないように教育していこうとは思っている。
圧迫や強制はせず、そっと矯正していくように、誰にも気付かれないように。Friskに偽善ではない優しさを教えて、見知らぬ誰かを周りと同調して凝り固まった偏見の目で見ないようにしなくては。正しい道を進めるようにしなくては。
そうしなくちゃ、きっとハッピーエンドへはいけないから。



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λ月=日


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