ハーメルン
波の尖兵の意趣返し
エピローグ

 それから、俺たちはメルロマルク城下町にしばらく滞在することになった。
 メルロマルク城下町の宿で一晩泊まった後にアールシュタッド領のドラルさんの小屋に戻ろうとしたら、入り口のところで止められたからだ。
 話を聞くと、波を治めた冒険者である俺たちにはしばらく滞在してほしいとの事で、国が宿代を出すから数日間ほど止まってほしいとの事であった。
 ギルドで仕事をしようにも、城下町内のお使い程度の依頼しかなく、仕方がないため俺たちはメルロマルク城下町に留まることになった。
 おおかた、セーアエット領で亜人狩りでもしている最中なのだろう。
 まあ、俺ごときが何をしようがタクトほどの影響力があるわけでもなし、大人しく従っておくことにする。
 ミナからの夜のお誘いは基本的に丁重にお断りしつつ、1週間ほどこの城下町に滞在することになった。

「ここが三勇教の教会です。ソースケさんが興味を持つなんて珍しいですね」
「そうか? 俺はこの世界については(生き残るために)興味津々だぞ」

 俺は肩をすくめて、教会に入る。
 そもそも俺の武器は三勇教にとっては象徴とも言うべき武器を取り扱っているので、快く迎え入れてくれる。
 それにしても、三勇教ねぇ……。
 この世界的には、イスラム教みたいなものか。
 いや、過激派と言った方がしっくりくるな、テロ的な意味で。
 ISILとかまさにそんなイメージだろう。
 さて、俺がここに来た理由は、龍刻の砂時計を見学しに来ただけである。

「へぇ……これが龍刻の砂時計か……」

 明らかにこの世界的にはオーバーテクノロジーな装置だ。
 と言うか、世界の危機を感じて動く装置なんて、俺の日本でも作れはしない。

「この場でステータスを確認すれば、その国の次の波がいつ起きるかがわかりますわ」

 ミナに言われた通り、ステータス魔法を確認すると、中心に次の波までの時間が正確に表示される。
 この時は、翌日だったため1月半だったと思う。

「45日ねぇ……。あんなの、どうやって被害なしで鎮めれるんだっての」

 独言る。
 やはり、四聖勇者を召喚しないと簡単には鎮められないと言うことなのだろう。
 波の尖兵的な意味でもレベル上げには適しているので、俺は積極的に参加した方がいいだろうな。

 数日後、メイン通りで兵士や三勇教のシスターや牧師の服を着た連中が、何かを大々的に運んでいるのが見えた。
 もしかしたら、あれが四聖勇者を召喚するための召喚具だったりするのかな。
 ギルドの仕事をちょくちょくこなしながら、メルロマルク城下町の散策をしていた。
 ミナはまあ、アイツエステとかに行っているからあまり一緒にいることはなかった。
 こうなると、レイファと会いたくなるが、俺はどうやらこの街から出ることができそうになかった。

 それから、四聖勇者が召喚されたという話が国中を駆け巡ったのは、この日から2日後のことであった。

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