ハーメルン
俺はめーりんに会いに行く!
第2話 博麗の巫女

 少女の後ろを歩くこと十数分。少女と静哉は、山の麓の長い石段の前に辿り着いた。
「この上のはくれー神社に霊夢がいるのー」
「へー、神社に住んでるのか。もしかして、霊夢さんって巫女さんなのか?」
「そーだよー」
少女がそうはっきりと断言したが、静哉は少し懐疑的だった。
 目の前のほわほわとした少女は、明らかに人外だったのだ。その少女に優しくするのが真逆の存在とも言える神社の巫女のはずがない。
 恐らく朽ちた神社に住み着く孤児か、または盗賊なのではないかと静哉は踏んでいた。
「おいてくよー?」
「おぅ、待ってくれよぉ」
 すでに10段ほど上がった先で少女が早く早くと催促していた。
 静哉は2段飛ばしで駆け上がって、人外少女の隣に並ぶ。
「よし、行こうか」
「出発しんこー」
 少女の掛け声を合図に、二人はえっちらおっちらと石段を上り始めた。


「とうちゃくー」
「…………はぁ……はぁ……ぐはぁ……」
 静哉は石段を上ってすぐの大きな鳥居の前に、荒い息を吐いて倒れ込む。もちろん命綱とも言うべき濃厚プリンは静かに置いた。
 この男は見事やり遂げた。あの終わりのないような感覚に陥る石段を、もはや気力だけで上り達成したのだ。
「プリンちょうだいー?」
「あ、ああ…………はぁ……ほら、食べ……はぁ……なぁ……はぁ……はぁ……」
 普段から運動しとけば良かったと、少し前の自分を恨む静哉。その隣で、人外少女がうまうまと濃厚プリンを食べる。
 数分もすれば呼吸も整い、静哉は立ち上がって周辺の確認をした。
 大きな鳥居に取り付けられた神額には、博麗神社の文字が薄れ気味だが確認できる。この場所が博麗神社で間違いないようだ。
「すみませーん!博麗霊夢さんはいらっしゃいますかー?」
 返事がない。ただの無人神社のようだ。
「……本当にここに霊夢さんがいるの?」
「いるー、嘘は吐かないよー」
 少女は心外だとばかりに静哉の手を握る。
 ドキッとした。それがここ数年経験のない異性との接触故か、はたまた喰われるのではないかという恐怖で心臓が跳ね上がったのかは定かではない。
「こっちこっちー」
「お、おう」
 静哉は少女に手を引かれて賽銭箱の前に来た。
「ここにお金を入れたら霊夢が出てくるよー?」
「えらく現金な巫女さんだなぁ……」
 静哉が正直に吐露すると、拝殿からガタッと音がしたが、静哉の耳には届かなかった。
「えーっと、財布の中身はっと。げっ、濃厚プリンのお釣りで小銭だらけだ。小銭は全部落としていくかぁ。むー」
 ガタガタッ。
 しかし、考え事をしている静哉の耳には届かない。
「どうしようかな。どうせ帰れるかもわからないし、有り金全部落として行こうかなぁ」
 ガタガタガタッ!
「誰かいるのか⁉︎」
 今度ははっきりと静哉の耳に入った。
 静哉の問いかけに、しかし音の主は現れない。
 もしかしてこの人外少女の通り、賽銭箱にお金を落とせば出てくるのではと本気で思案する静哉。
 静哉は相手を釣り上げることにした。
「んー、とりあえず御利益を期待して2万円ほど入れようかなぁ?」
 2万円という言葉に反応して、拝殿の扉が少し開く。
「ひぃッ!」
 静哉はあまりの恐ろしさに小さな悲鳴を上げた。

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