15VOLT
ボクは空港でのテロリストの戦闘後、朔也とあおいと合流して被害状況を確認した。被害は死者は出なかったものの、捕縛時に近くにいた何人かの隊員達が大きくはないが負傷したと言う事を聞いた。死者が出なかった事は幸いだが、テロリストが何の目的で保護対象を誘拐したかは未だ不明だ。それについて話している間に既に日付は変わっていて、ライブ当日になっていた。とにかく一旦ボク達は休む事にして、休憩後に話す事になった。
数時間の仮眠を取り、ボクが倒したテロリスト達の特徴などを伝えたりして昼頃、あおいと朔也と合流する。
「今回の件は一応司令の方には伝えたけど、会って報告するのは心苦しいな」
朔也が溜息を付きながらそう漏らす。
「まさか護衛に付いていた人がテロリストなんて誰も思わないわよ」
「自分の仲間の中にテロリストがいるかもしれないという思惑で全員が疑心暗鬼になって誰も彼も信用出来ないようにする。テロリストもそんな魂胆を狙ってるのかもしれない。だからと言って身辺調査を今頃したところでさらに溝が出来て相手の思うツボになる。向こうもそれが狙いなら手出しが難しい」
ボクの言葉に朔也とあおいが頷く。今頃、疑いを掛けて疑心暗鬼になったところを攻められるなら相手にとって好都合だろう。敵の虚言に騙されて撃たれるなんて事になる可能性だってある。
「この事は余り身内には知られない方が良い。とにかく、ボク達はいち早く戻って弦十郎に報告をしよう。ヘリの準備はもう一課に頼んでる」
ボクはそう言って朔也とあおいと共に空港屋上のヘリポートへと向かう。待機しているヘリに乗り込むとヘリは飛び立った。
下の空港ゲートに視線を向けると沢山の記者団が押し寄せており、一課や航空警備隊が対応に追われていた。
「全く、こっちだって真剣にやってるのに有る事無い事書いて、いい迷惑だ」
憎たらしそうに朔也が呟いた。振り向くと朔也の手には新聞かあり、新聞の一面には
-自衛隊、テロリストの侵入を許してしまう。捕虜になっていた少女をなぜ救えなかったのか-
と見出しに書かれていた。
その見出しを見てボクは奥歯を噛み締める。あの場にいて雪音クリスを救えなかった事、過去の奏の件と重なる。
「ガンヴォルト、あなたのせいじゃないわよ。今回の件もあなたは自分の危険も顧みずに戦ったんだから。誰も今回の事であなたを責めたりはしない」
ボクの心情を察したのかあおいが励ましてくれる。それでもボクは雪音クリスを救えなかった事に歯痒く感じている。
そこからはボク達は黙って到着するまで会話らしき会話もなく目的地である二課までヘリの中で待機していた。
しかし、その沈黙を破ったのはヘリのパイロットであった。
「ライブ会場にノイズが出現したそうです!現在被害状況は不明!シンフォギア装者がノイズとの戦闘を行なっているそうです!」
「ライブ会場に進路を変更!ノイズタイプの確認も頼む!」
ボクはパイロットに情報を求めた。パイロットは一課に確認を取り返答する。
「確認されているのは飛行型、巨大型、人型、四足歩行型です!」
「分かった!ボクをライブ会場上空で降ろしてくれ!」
「分かりました!」
パイロットは進路をライブ会場へと変更させる。そのうちにヘリの中にあるボクの戦闘服へと素早く着替える。腕や脚の装備やダートリーダーの状態を確認をしながら朔也とあおい、そしてパイロットに向けて言う。
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