5VOLT
数日が経つ。
二度ノイズが出現したため、出動して戦闘を行った。避雷針はボクの第七波動の雷撃を纏って打ち出されるため、ノイズにもロックオン可能だという事が分かった。
その結果、複数のノイズとの戦闘はかなり楽になっていた。ただ、問題があるとすれば今は良いがかなりの数のノイズが現れた場合、避雷針の数が足りなくなるという事くらいだ。
それなりの数を用意してもらっているが、それでも一回の戦闘で減る避雷針の数は多い。ボクの髪の毛から出来ている物であるため、髪を切って渡しているが、伸びるのにもそれなりに時間が掛かる。
スキルを無限に使用出来ればそんな事ないのだが、そんな上手い話がある訳でもなく、スキルも使いどころを考えなければならない。それに、現在はライト二ングスフィアのみしか知られていないため、他のスキルを使用する事も出来ない。ただ、他の二つのスキルに比べて燃費が良いのがまだ救いなのかもしれない。
後、生活環境も変わった。現在は二課より支給された部屋から離れ、職員の独身寮の一角を借りさせてもらっている。
それと弦十郎の計らいにより戸籍を作って貰い、学校にも通わせてもらっている。
年齢的にも中学生だし、二課にずっといるよりもある程度は自由になったのは良い事だとは思う。ボクの元いた世界でも、学校に通っていたし別に苦という訳でもない。
ただ、ボクだけがこんな形で過ごしている中、シアンの事だけが心残りである。
「無事でいてくれ…」
◇◇◇◇◇◇
「ガンヴォルトの様子はどうだ?」
「独身寮の一室を与えてから、学校にも普通に通っていてます。学友も出来、中学生らしい生活を送っていると思います。ですが、ガンヴォルト君自身、大人びたところがありますし、少し他の方々と距離を置いているところが少し不安にはなりますが…」
弦十郎の質問に慎次が答える。
確かに、ガンヴォルトはあの年代にしては大人びたところがある。それは、ガンヴォルトの元の世界での生活環境が起因しているのかもしれない。
だが、この数日ガンヴォルトを見ている限り、弦十郎等が危惧していた可能性は誤りではないかと思いたくなる。
「俺達の思っていた事は起きない。そう願いたいものだ。だが、ガンヴォルトには悪いが、1%以下の可能性でも捨てきれない限り、監視を続けさせてもらうしかないか」
弦十郎は、プライベートすらも監視するなんて事は余りしたくはないが、危険性が完全になくなった訳ではない。それを考慮すると監視せざるを得ない状況である。
「全く、こんな事を行わなければならない事に嫌気が差してくる。青春真っ只中の少年の監視を未だ続けなければならない状況に」
「ごもっともです」
二人して大きな溜め息を吐く。
しかし、事の転換期は唐突に起きるものだ。
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