7VOLT
ボクが二課に所属して2年の歳月が経った。
未だ、シアンの情報は全くない。だが、了子の言っていたボクに宿る彼女の第七波動は健在している。第七波動が消えてないならば彼女は生きていると思う。その根拠のない希望を抱き続ける事は本当に正しいのだろうか。あの時、ボクが撃たれ気を失った時には彼女は既にもう…。
最悪の考えを振り払うように首を振る。今やるべき事に集中する。
ボクは今、とある場所に来ている。
長野県の聖遺物発掘現場。そこに聖遺物があるとされ、国が総力を挙げて調査している場所だ。
ボクがこの場に来ている理由は、任務やノイズ発生などではなく、シアンや元の世界の手掛かりを探すためである。全く情報が見当たらず、どうしようもないボクに出来る事はほとんどない。
だから、ボクは前に弦十郎の言っていた別の世界に繋ぐ聖遺物を探している。
この2年で幾つもの日本にある採掘現場を回ったが、何の成果も得られていない。二課にはシアンの捜索をしてもらっているため、完全にボクが個人的に行なっている調査となっている。ただ、聖遺物を見つけたとしたら二課に渡さなければ調査しようがないので、その時は二課にお願いしようと思っている。
発掘現場に赴く。休みのため人が閑散としている。ボクは、発掘現場の一般開放された部分以外を二課のメンバーだと身分証明書を出し、難なく入る事が出来たため、そのまま発掘現場にて調査を開始する。
ボクのような素人では、どれが聖遺物なのか皆目見当もつかない。だがそれでも何もせずにはいられなかった。最悪、聖遺物とは古代の聖遺物のため、それらしき物を見つければ何とかなるのかもしれない。
ボクは坑道などを徹底的に調べながら発掘現場を回っていた。
だが、しばらく探してもなんの成果もない。まだそこまで日も落ちている訳でもないため、一度休憩でもしようと考えた矢先、少し離れた所から爆発音と悲鳴が聞こえる。その悲鳴の聞こえる方に向かって走り出した。同時に持っていた通信端末に連絡が入る。
『ガンヴォルト!ノイズが出現した!今すぐ本部に向かい、ヘリへと急げ!』
「ごめん、弦十郎。こちらもトラブル発生だ。二課に行く事が出来ない。悪いけどこっちの指定した場所までヘリを飛ばしてもらえる?それで、ノイズの出現場所は?」
『長野県の聖遺物発掘現場だ。なら、翼を先行させる。ガンヴォルトは後で合流してくれ。それで、お前のいる場所は?』
ノイズの出現。しかし、運が良いのか悪いのか、出現したと言われる場所は多分さっきの悲鳴からして、この場所で間違いなさそうだ。
「ヘリの迎えは必要なさそうだ。今回のトラブルがそのノイズだと思う。ボクはその場にちょうどいるから翼は一応待機させておいて。こっちはボクがなんとかする」
『なんでそんな場所に赴いているか知らないが、分かった。装備はあるのか?』
「アンダーウェアは着ているし、ダートリーダーも持ってるからなんとかなるよ」
『そうか。だがガンヴォルト。無茶だけはするなよ』
「分かってるよ」
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