認められる、猫
ザワ…ザワ…
猫が喋った!?
シャベッタァァ!
ヒキタニくんまじっべーわ!
徹夜のしすぎで幻聴がぁ…
へくちっ
我の同志が猫ニィィ!?
み、みんな、少し落ち着くんだ!
キイエエエエ!
ヒキオのこと、みんな気にしすぎだし
ぐ腐腐…新しいはやはちキマシタワー!
耳がぁ、耳がぁ!
可愛いヒキタニくんとかレアじゃね!?
お前ちょっとどいてろ、俺が動画撮るんだ!
…
カオス。混沌なるカオスとか言いたくなるくらいカオス。いかん、少し俺の中の闇の力が……中二病が再発仕掛けたぞ。こうなったのにもマリアナ海溝よりも深い理由があるわけでして。
「なんでこんなところに猫がいるんだっ」
「あっ、はい。すんません」
「喋る猫っ!? …お、お前は誰だ!」
「ひ、比企谷八幡でしゅ…」
浅かった。波打ち際より浅かった。後先考えずにネコリンガルをオンにしたままつい反射で答えてしまったからなぁ…。まぁ、これで数学の授業は潰れるだろう、と思いながら微睡みに落ちた。
「ヒッキーよく寝るなぁ…」
× × ×
撫でられている感覚がある。その手つきはどこまでも優しく、それでいて少しばかりの豪快さも持ち合わせていた。心地いいんじゃぁ〜。
「と、戸塚じゃないか!」
一日ぶりの戸塚だ! 戸塚ニウムが摂取出来るぞ! ああ、もっと撫でてもらいたい…。はっ! 俺は今猫だから戸塚にスリスリ出来るのではっ!? そうとなったら行動あるのみだ。理性? そんなもの知りませんね。
「わっ。もう、びっくりさせないでよ八幡」
…っは! 戸塚が可愛すぎて一瞬昇天してしまったぞ。もうずっとこうしてスリスリしていたい。
「あははっ。くすぐったいよぉ…。もうっ、あんまり悪戯しちゃダメだよ?」
はぁい…。ややシュンとしながら戸塚の言葉を受け止める。欲望に忠実過ぎたかもしれないと少し反省だ。
と、クラスメートがわんさか集まってきた。え? 集団リンチでも始まるの? やめてくださいお願いします。
「戸塚、触って大丈夫だった?」
「うん! 人当たりが良くなってるよ!」
「じゃあ私ももふもふする!」
私も私も!
俺だってもふりたいぜぇ
ああ!? 俺が先だっての
…
「みんな、喧嘩はダメだよ…?」
「「「あっはい」」」
おお、流石戸塚。影の総司令官と呼んでも差し支えないレベルで統括できている。もふりたい人は一列に並んでねーと戸塚が仕切っている。戸塚すげぇ…。
「わぁ! もふもふだぁ! 可愛い〜」
女子から触られる日が来ようとは思いもしなかったな…。恥ずかしさがかなり強いが受け入れられているという安心感がそれを上回っていた。なんだか、嬉しいかも…。
「わ、私も並ぶんだっ!」
平塚先生…、列に並んでないで早く二時間目を始めましょうよ。
× × ×
午前中の授業が終わり、昼休みに突入する。俺は机の上で溶けるように横たわっていた。最早溶けた方が楽なのでは…?
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