ハーメルン
国際連邦日本エリア召喚
6 ロウリア王国の終焉

―ロウリア王国東部諸侯団

 副将アデムはイラついていた

「どうなっているのですかぁ!」

 部下たちは冷や汗を掻く。悲鳴と共に12騎の偵察隊とは、連絡が途絶えた。
 そのいずれもが、黒い、恐ろしく速い竜に追われているといった言葉を最後に連絡が取れなくなった。

「現在調査中でして……」

「具体的にどのような方法で調査しているのか!たわけがぁ!」

 静まり返る。
将軍パンドールが話し始める。

「まあしかたがない。出来る事をしよう。本軍の護衛は?」

「ワイバーンが50騎常時直衛にあがります。残りはギムの竜舎で休ませています。もちろん、命あれば、いつでも出撃いたします」

「50も?多くないか?」

「いえ、今までの軍の原因不明の消失、もしかしたら敵はとてつもない力を手に入れたのかもしれません。本軍が壊滅したら、今回のクワトイネ攻略作戦は失敗します」

「そうか……」

 上空には多数のワイバーンが編隊を組み、乱舞している。その雄姿は何が来ても勝てると思わせるほどの威容だ。
 伝説の「魔帝軍の行進」でさえ、これほどの軍があれば、きっと跳ね返せるだろう。
 しかし、敵はいったい……

 パンドールの思考は強制的に一時中断させられた。
上空を乱舞していたワイバーンが何かわめぎ声を上げ始める。竜騎士はコントロールを失いかけていた。

「なっ何だ!?何が起こったあ!」

 彼には知る由も無いことだが、その時ワイバーンたちはCP-237のレーダー照射攻撃を受けて眼球を焼かれていた。鱗によって他の部位は助かったし、乗っていた竜騎士も全身を覆う装具のおかげで熱を感じただけで焼かれることからは逃れられたのだが、突如眼を焼かれたワイバーンたちはパニックを起こしていた。
 やがて、東の空に黒い点が6つ、音も無く近づく。超音速!

 軍上空を『それ』は凄まじい速度で通り過ぎた。矢じりのような形、真っ黒に塗られた機体。

 遠雷のような轟音と共に衝撃波が彼らを襲う。
彼らが見たのは、マッハ3.3という猛烈な速度で軍上空をフライパスしたCP-237の姿だった。

「は……は……速すぎる!!!」

「なんなんだ!!」

「あああああああああ」

「バカな・・バカなぁ!」

 飛び去るその時、CP-237はワイバーンのすれすれを飛行していた。もちろん、攻撃の意図があってのことだ。乗騎から振り落とされた竜騎士たちが悲鳴を上げながら落ちてくる。

 恐怖。
 しかし、悲劇は待ってくれなかった。
 先ほど飛び去った敵の鉄龍が戻ってくる。
と同時に、軍団の兵たちが炎に焼かれるような苦しみの声を上げ始める。再びのフライパス、竜騎士が乗騎から落とされる。
 精鋭騎士団が一方的に殺戮されていく……
 ワイバーンの数こそが軍の力と思っていた。これだけの数のワイバーンがいれば、炎神竜にさえ勝てると思っていた。
 それが、まるで何かのゲームのように一方的に撃破される。
否、これは、もはやゲームそのものだ、敵は、武器や導力火炎弾を使ってすらいないではないか。

「ちく……しょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 上空から精鋭ワイバーン部隊が一掃された。

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