第9話 諜報活動始めました-前編
皇歴2013年 革命暦224年 E.U.総合工科大学
アキトと友達になって数週間。今僕は、大学内にある8畳程の教室にいる。その教室の入り口から右手奥の壁側に机があり机の前の壁にモニターが数台掛けられており、そのモニターに株価やE.U.内の政治・経済・軍事ニュース、ブリタニア帝国のニュース、ユーロブリタニアのニュースなどが映っている。僕は、その机の前に座りPCとモニターを比べながら今後の計画を立てていた。
この教室は、元々ある教授のゼミ用の教室だったが教授は今部屋の隅で黙って自分の仕事をしている。その両目は、薄っすらと赤く光っているから僕の邪魔になる事は、ない。
2日前に僕とオルフェウスが拠点にしていた場所がE.U.の"国内治安総局"と"対外情報総局"と呼ばれる情報機関に家宅捜索を受けた。しかも一箇所だけでなく、複数のダミーの拠点も押さえられたのだ。
具体的には、7つあった拠点の内6つが押さえられた。正直言ってかなり焦ってしまった。何せその6つの拠点は、其々本国の機密情報局、帝国国防省国防情報局、ユーロブリタニア参謀情報部に伝えていた拠点なのだ。そして残った1つの拠点がオルフェウスと二人だけの拠点だった。
情報局や情報部に報告していた拠点が全て制圧されたのが偶然かそれとも誰かが意図的に情報を漏らしたのか分からないが、少なくとも用心に越したことはないと少し調べてみたら、案の定情報のリークがあったようだ。
ユーロブリタニア参謀情報部から対外情報総局へ情報が送られ、其処から国内治安総局へ情報提供が行われたらしい。
ただ今回のリークに機密情報局が関与していることは、ほぼ確定している。
如何にE.U.の情報部が優秀であろうと皇帝直属諜報機関にスパイを入れるのは、不可能であろう事は明白だ。当然、本国と対立構造を持つユーロブリタニア系の人間も機情局に殆ど配置されていない。それこそ僕と同じ前線勤務の者ぐらいだろう。しかし機情局の情報が流出した事は、間違いない。
となると考えられるのは、
1それぞれの情報機関からE.U.へ情報が流れた
2機密情報局内にスパイがいて国防情報局と参謀情報部の情報にアクセスして情報を流した
3国防情報局内にスパイがいて参謀情報部へ情報がリークされてそれがE.U.へ流した
4参謀情報部内にスパイがいてそれぞれの情報を不正に取得しE.U.へリークした
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などの色々な可能性があるが、一番可能性があるのは機情局内にいるスパイが参謀情報部を通してE.U.へ情報をリークしていた線だ。ただしスパイは、E.U.のスパイではなくブリタニア本国のスパイだろう。
正確に言うなら反ヴィ家の皇族・貴族だろうと。僕の情報をリークする所はそこぐらいしか無いと思う。実際如何に皇帝直轄であろうと、そういった皇族や貴族の皇位継承争いに無関係でいられる者は少ない。機情局の幹部の中にも他の皇族の後援をしている貴族が存在する。当然そうなると皇族・貴族達からしてみたら皇位継承権を持つ後ろ盾のない僕は、サクッと暗殺出来る程度の存在だろう。そういった貴族が皇族の意思か皇族への忖度かで僕の情報を売ったのだろう。僕をE.U.に始末させる為に…。
そう考えると物凄く不愉快だ。
背中から刺されたような感じ、裏切られた気分だ。まぁ実際どうかは、まだ分からないが何かしらの事があったのだろう。だから此方も何か対応をしないといけないだろう。
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