ハーメルン
ファイアーエムブレム風花雪月 双紋の魔拳
第6話 課題協力要請

「ちわーす、ハンネマン先生来ましたよー」
「おお、ジョニーくん。待っていたよ。さぁ、血を出してくれ」
「……そこだけ切り取ると猟奇的過ぎません?」
「そうだろうか?」

 まぁ、そんなことはどうでもいいわけで、パパッとウインドで指を切って血を瓶に足らす。この作業も慣れたものだ。

「しかし、いつ見てもその魔力の精密操作能力には眼を見張るものがあるな。それも紋章の力なのか?」
「あー、まともに使えるようになったのは改造されてグロスタールの紋章が出てからですね。それまでは本当にしょぼい魔法しか使えませんでしたから」

 まぁ、程よいブリザーにより夏場のクーラーマンとして重宝されたのだが。

「魔法はどこで学んだのだね?」
「チップを貯めて魔導の入門書買いました。4歳くらいのときでしたかねー」
「4歳⁉︎文字は読めたのかね⁉︎」
「ええ、できることを増やしたくて色々頑張ってましたから。……まぁ、教材が主に娼婦の方々へのラブレターだったので覚えた文字超偏りましたけどね」
「……ふむ、紋章の力とは一概に言いきれないな。君の努力の賜物か」
「いや、紋章の力ありきだと思います。魔導書にあった魔力の認識と操作、アレ俺は生まれつきできたんですよ」
「それは確かに凄いな。あそこで挫折するものは多いのだよ」

 そうして、傷を相変わらず上達しないライブで治す前にちょっと紋章装置に垂らしてみる。

 そこにはグロスタールの紋章と、それに重なって現れる円が現れた。

 この外枠みたいな円が、紋章学的にありえない新しい紋章なのだとか。

 もうちょい格好いい形はなかったのかと言いたいが、二つの紋章が重なり合って不恰好になるよりかはマシだろう。

「それよりハンネマン先生、紋章の力っぽいののレポート仕上げてきましたよー。とりあえず挙げられるだけ挙げたんで、そっからグロスタールのと努力の賜物を退かして下さいな」
「ありがとう……ふむ、読みやすいな。コーデリア領での教育は上質のようだ」
「いや、コーデリア領の魔導師達はズタボロだったんでその辺のレポートの書き方は独学です」

 帝国ってホントクソだわ。と口に出しそうになるのは止める。一面からだけで物事を判断するのはダメだぞ、俺。

「……しかし、こうしてみると本当に君の力は奇妙だな。他人の紋章を感知する力は、これまでの紋章学における“戦うための力”という私の仮説を離れている」
「他にも、若干感情がわかるってのも戦い向きじゃないですよね」
「うむ、思考が読めるというのであれば戦うための力とこじつけられるのだがな」
「こじつけたらダメでしょ、ハンネマン先生」
「まぁそうなのだがな。……しかし、そうなると君が捨て子だったというのは本当に残念だ。君の実の両親や親類縁者にも同じ紋章が現れていたら比較検討ができたものを」
「そればっかりは仕方ないですね。俺の子供にこの円が出たら、その時はハンネマン先生の後継者が調べて解き明かしてくれたりするんじゃないですか? 知りませんけど」
「未来の事だからね」
「じゃあ、良いですか? 今日はちょっとやりたい事があって」
「なんだね?」
「この前の課題出撃で捕らえた盗賊たちの、遺書の代筆です。多分死罪になっちゃうでしょうから、今のうちに子供達に残せるものは残しておきたいんですよ」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析