ハーメルン
個性ソビエト
1日目 夜 個性把握訓練と悪夢

 ~夜~

「う~ん、今日だけじゃ無理か」

 未知さんと個性の把握を心理テスト形式で試しましたが、普通の病院なら解ることくらいでした

「明日も夕方からやろうか。傾向の確認は済んだから専門の道具も使えるようにしておくからね」

「あの……その専門の道具は今日は使わなかったのですか?」

「んーとね、本当に来てくれるか怪しかったし、歌舞が信用しなかったらするつもりは無かったの。……法に抵触する可能性が有るから」

「違法なんですか?」

「……トリガーっていう個性増強薬を知っているかな」

「違法な薬じゃないですか」

「これね、違法なの日本だけなの。本来の使用目的は個性の検査薬か鎮痛剤なんだよ」

「鎮痛剤? ですか……副作用が実は本来の使用目的!!」

「そう。トリガーは鎮痛成分に含まれる成分の割合を変更して個性の増強という副作用を発生させてるだけなんだ……だから薬が切れると使用者の大半が体が個性に耐えれなくてボロボロになるの……あ、明日使うのはトリガーじゃなくてちゃんとした検査薬だからね。まぁグレーゾーンの薬だから表沙汰にしたくないんだ。これでダメなら別の方法も有るから気を楽にね!」

「は、はい」

 その後は夕食と歌舞さん、仁菜さん、未知さん以外の職員の方との歓迎会をしてお風呂に入り、眠りについた








 チャポン

「ん?」

 目が覚めると暗い洞窟の中だった

 後ろは洞窟の入り口らしく光りが漏れているが凄く寒そうだ

 個性で急いで防寒着に着替えてなければ凍え死んでいただろう

 外を見ると雪が積もっていた

 洞窟の中に戻り、個性でランプを作るとそれを洞窟の中を照らしてみる

「……なんだこれ?」

 赤黒い液体が何かに引きづられた跡が残っていた

 私はその液体が直感で人の血液であることを認識してしまう

 吐いた

 胃の中が空っぽになるくらい吐いた

 逃げ出したくなるが外は吹雪、スマホは勿論県外

 ……何か来る

 足音だ

 私は咄嗟に岩の陰に隠れる

 ドスッドスッと質量感ある足音で普通の人ならこんな音は意識しないと出せないだろう

 私は音に意識しすぎて手にランプが無いことに気がつく

 ランプを床に置いたまま隠れてしまった

 新しく個性を作ろうにも手元にも胃袋にも食べ物も燃料もない

 脂肪を消費すれば良いのだか私はパニックになっていてそんな当たり前の行為が出来なかった

 それよりも岩の陰で声を殺して足音が遠くに行くのを待った

 ドスッ

 足音が止まる

 恐らくランプに気がついたのだ

 ドスッドスッドスッドスッドドドド

 走ってランプに近づいた様だ

 まだ私には気がついていない

 ドスッドスッ

 私の隠れている岩の前で止まる

 上から強い光りが見えた

 咄嗟に上を向いてしまった

 そこに居たのは狼の顔をした化け物だった

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