2人の英雄編―――黒龍の評価
戦兎に連れられるようにやって来た施設はヴィランアタック、岩山を模したフィールドに複数のヴィランロボが設置されており、それらの撃破スピードを競うタイムアタック系の施設。此処なら存分に個性を使用での戦いなどを見せる事が出来る。
「龍牙君、是非見せて!!是非、マイトおじ様と戦ったっていう貴方の力を是非!!」
「いやでも……」
「お願いっ!!」
ヴィランアタックの施設に来てしまった以上やるしかないような雰囲気になっているが、龍牙の表情は何処か優れない。ヴィランアタックには観客がおり様々な人の目に触れるというのもあるだろうが……それ以上に龍牙は怖がられたりしないだろうかという不安も少なからず抱えていた。
戦兎は素晴らしいと肯定してくれた、個性を真正面から向き合っても恐怖どころか好奇心が刺激されてもっと調べたいと言っていた。ならば彼女はどんな反応をするのだろうか、此処まで友好的な彼女が態度を一変させるのではないのだろうかという不安が燻っている時の事、緑谷が無理にはと言おうとした時に彼の背中を戦兎が思いっきり突き飛ばした。
「此処まで来ておいて何言っちゃってる訳、お前さんは思いっきり自分の力を見せ付ければいいんだよ。堂々としながらな」
「戦兎さん……」
「大丈夫、見ててやるから」
肩を叩きながらそう言う戦兎に不思議と力を貰ったような気がする龍牙が一度だけ深呼吸をすると、覚悟を決めたようにヴィランアタックへの参加を決意する。
「本当!?やったぁっ有難うございます!!」
「ふふんっ本当に凄いんだから見ててくださいよメリッサさん!」
「あの、なんで葉隠さんが凄い自慢げなの?」
「パートナーの特権!」
そんな風にはしゃいでる姿を後ろ目に簡単に受付を済ませると早速ヴィランアタックのスタート地点に立った。
「さあ今度のヴィランアタックの挑戦者はスーツっぽい衣装に身を包んでるナイスな青少年君!!一体どんな記録を出してくれるのか非常に楽しみであります!!」
と司会進行のお姉さんが声を張り上げて盛り上げに尽力している最中、龍牙は唯々意識を集中させている。そして十二分に練り上げられた集中力を一気に爆発させるかのように全身から黒炎を溢れ出させる。
「もしかして、あれが龍牙君の個性……!?」
「そう、でもあれだけじゃないんですよ!!」
リュウガ……!!
自慢げにしている葉隠の言葉通り、直後に黒炎は更なる勢いを見せ付けながら天へと伸びる火柱へとなっていく。そしてその中から龍の咆哮と共に赤い瞳が輝きを見せる、一際大きな低い唸り声が響いた直後炎は四散しそこには個性を完全に発動させた龍牙の姿があった。
「こ、これはぁっ……!!!」
龍牙の登場を間近に見つめていた司会のお姉さんも言葉を失っていた、凄まじい炎の奔流だけではなく、その炎を突き破るように登場した黒龍の存在に言葉を失っているのか正しく何も言えないような感じだった。龍牙は矢張りこうなってしまうのか、と思い至りそうだったその時だった。
「な、なんとぉ挑戦者は雄英体育祭で話題になったあの黒龍、黒鏡 龍牙君だぁぁぁぁっっ!!!!これはなんというサプライズ、雄英体育祭は勿論このI・アイランドでも放送されておりましたがまさかその龍牙君がこの場に来るなんてぇぇええ!!!??」
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