ハーメルン
もしもACfAの世界が特異点だったら...
第2節

「そうか...そんな事が」
「えぇ。 最初は偽者かと思ったんだけど貴方に伝えてくれって、彼が言っていたから」
「多分、本当に彼自身だろうな...」

格納庫で1機のネクストがシャッターをぶち抜き、オーバーブーストで脱出を始めようとした頃、それと真反対に位置するオペレーティングルームでは1組の男女が会話をしていた。

「本当に?」
「生前の彼と裏で親交があったのは、俺たちとセレンとその弟子の首輪付き、そしてORCAのリンクス達だ。 それ以外だと...アスピナのマーシュ位だろう」
「それと大艦巨砲主義の社長さん、でしょ?」
「そうだな。 多分彼なら彼奴らにも—」

彼がそう呟いた瞬間、ポケットに入れてあった通信機から音が鳴る。

「どうしたの?」
「いや、案の定ってやつだ...おう、どうした?」
『どうもこうもない。 何が起きている?』
『いやぁ...流石のマーシュさんでもこれは予想できないねぇ』
「という事は、彼奴から連絡があったか」

画面に映ったのは、白毛のやたらフリーダムな天才アーキテクト【アブ=マーシュ】と、GA傘下の温泉企業、有澤重工の社長リンクス【有澤隆文】。
彼が口を開くと、途端に彼らは嘆息をついた。

「ともかく、事実確認を急ぎたい。 マーシュも有澤も特に彼奴から何か聞いたわけじゃないんだろう?」
『そうなんだよねぇ、僕んらのプライベートアドレスから連絡入れて【なんか蘇ったんだが...】の一言だけだし』
『ああ、儂の所もそう変わらん...と、なると奴のいる所まで行かねばなるまい』

マーシュは溜息をつき、有澤の眉間には軽く皺が寄る。

「そうなると多分本拠地、だろうな...」
『『ビックボックスか?』』
「...いや、エーレンベルクの地下にもネクストを5機ほど密閉格納できる基地があったはずだ」
『じゃあ、どっちも行った方が良さげだねぇ』
『だが儂は仕事で動けんぞ』
「...マーシュは?」
『僕も試作ジェネレーターの最終調整があるから無理だねぇ...』
「...仕方ないか。 どこかの依頼ついでに見てこよう。 そうなるとエーレンベルクの方が先になりそうだ」
『そこはお前のセンスに任せよう、レイヴン』
『よろしくねぇ〜』
「ああ、わかっ—」

その瞬間、ラインアーク中を普段は聴くことのない、けたたましいサイレンが鳴り響いた。 彼は即座に只事でないと判断すると、即座に壁のインターホンの接続を入れた。

「こちらレイヴン! 一体何が起きた!」
『...ミスターレイヴン、上層部から貴方に首輪付きの追撃が命じられました。 即座に格納庫へいらして下さい』




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「何だ、ここ...」

見渡す限り草木一本生えない荒野が広がっている。 立香がそう呟くのも無理はない。

「先輩、ここは...?」
「こんなん初めて見るぞ...本当に地球かよ?」

立香に話しかけるのはデミ・サーヴァントとなった後輩【マシュ・キリエライト】と、サーヴァント・セイバーの叛逆の騎士【モードレッド】。 荒野と言っても、明らかに地球では見られないような状況に困惑していた。

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