019
「あ……。ひゃああっ!?」
バイザーが顔から離れた獅子神は、大慌てで俺から離れるとその場にしゃがみ込んでしまった。一体どうしたんだ? そんなに素顔が見られるのが恥ずかしいのか?
「あっ、すまない。ワザとじゃなかったんだ。ほら、これ……って」
床に落ちたバイザーを拾って獅子神に手渡そうとした時、俺はそこで初めて彼女の素顔を目にした。バイザーがない彼女の素顔は、まだ中学二年生ということもあってまだ少し幼さが見えるが、それでも充分美少女と言えた。
「獅子神、美人じゃないか。そんなに美人なのに何でいつもバイザーで顔を隠しているんだ? 勿体無くないか?」
「び、美人!? あ、ありがとうございます。……じゃなくて! 私から離れてください! じゃないと……ああっ!」
俺の言葉に顔を真っ赤にした獅子神は、こちらを見て何かを言おうとしたが、その前に大きな失敗をしてしまったような表情となって短い悲鳴のような声を上げる。
「獅子神? 一体どうし……た……!?」
絶句する獅子神に声をかけようとしたその時、俺は彼女の背後にいきなり現れた「それ」の存在に気づいた。気づいてしまった。
獅子神の背後に現れたのは、白い光を全身から放つ半透明のロボットのような姿の巨人。
な、何コレ!? ス、◯タンド!? スタン◯能力ですか!? もしかしてこのス◯ンド能力みたいなのが獅子神の忍法なの?
俺の忍法「獣遁・電磁蜘蛛」はスタ◯ド能力を参考にしたものだけど、◯タンド能力者はスタン◯能力者と引かれ合うって事ですか、◯木飛呂彦先生!?
「も、もう駄目……! 私、五月女先輩を殺してしまう……。お願い、五月女先輩、早く逃げて……えっ?」
馬鹿な事を考えている俺に向かって、何やら懺悔するような表情で物騒な事を言おうとしていた獅子神だったが、その言葉は途中で遮られた。獅子神は驚愕の表情を浮かべて俺を、正確には俺の背後を見つめていた。
おいおい、味方がス◯ンド能力者だってだけでも驚きなのに、これ以上何があるっていうんだよ?
「さ、五月女先輩? 後ろの『それ』は……何ですか?」
「後ろ? 俺の後ろに何がいるって……?」
獅子神が震える指で俺の背後を指差し、呆けたような声で聞いてきて、それに俺は後ろを振り返る。するとそこにいたのは……。
四本の巨大な脚をもって地面に立つ三メートルくらいの鉄球と、その鉄球と背中が繋がった状態でぶら下がっている八つの目を持つロボットであった。
えっ!? もう一回何コレ!? スーパー◯ボット大戦の◯ン・アーレス!? 俺、あのいかにも不気味でボスっぽいデザインが好きだったんだよな……じゃなくて! 新手のスタ◯ド!? 新手の◯タンドだとしたら能力者は誰よ?
『……………』
『……………』
驚愕する俺と獅子神を他所に、二体のスタン◯は互いに見つめ合い(多分だけどそんな気がした)、十秒くらいそんな状態が続くと、二体とも何をする事もなく宙に溶けるように消えていった。
「い、いなくなった……? それも二体とも。一体何だったんだ?」
「よ、よかった……。もう駄目だと思いました。……五月女先輩が」
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