12 繋ぎ回
バナナ禁止は自分で食べるのが禁止という意味らしく、レオナが俺にあーんってするのはセーフだったらしい。
そうこうするうちに呪法が解けて、元の姿に戻った。
俺の中のゴリラが、バナナで満足したから……???
いや俺の中のゴリラって意味分からんけど。ゴリラじゃねえし。
ともあれ、パプニカは復興を始めた。
結構な数の民が逃げ延びていたらしく、何だかんだ復興は早く済みそうである。
とは言え当然ながら死者も大勢いたワケで、やっぱりヒュンケルはギルティーなんだが。
さて、俺たちはパプニカ城内に部屋を貰い、今後の対策を練っていた。
「まず魔王軍の現状について」
「百獣魔団は逃げ散り、不死騎団はマグマに沈んだ。氷炎魔団は?」
ハドラーがフレイザードに聞いた。
「滅ぼしてきたぜ」
何サラッと自分の軍団滅ぼしてんだ、こいつ。
「オレはハドラーさまの作った禁呪法生命体だからな。ハドラーさまが死ねば道連れ……。じゃあ一緒に魔王軍を裏切るしかねえだろ」
「ちなみに魔王軍では、どのようなご活動を?」
俺はインタビューした。
「オレはオーザム王国の攻略を任されていてな。ぺんぺん草1本残さず国を滅ぼすため、綿密な計画を練っていたんだ」
流石は炎の狂暴性と氷の冷徹さを兼ね備えた男よ。
で?
「そしたら召集がかかったから、帰った」
うん?
「計画を練って……?」
「練っただけだ。実行してねえ」
「ノットギルティー」
フレイザードはあからさまにホッと息をついた。
コイツはコイツで緊張していたのか。
微妙に表情が分かりづらいんだよな……。
しかしそうか、俺は原作よりも早く魔の森を抜けている。とにかく真っ直ぐに突っ切って、迷わなかったからな……。それでクロコを倒すタイミングが早まり、6大団長集結の巻も早まったのか。
いやハドラーがこっちにいるのに、原作通りに進むのは意味分からんけど。原作の修正力ってやつ? まあ少なくともミストバーンがクソ適当な仕事してるのは分かる。
「でもフレイザードだっけ、つまり裏切り者なんでしょ? 本当に信用できるのかしら」
「ちょっとレオナさん! 話を混ぜっ返さないで!! ほら、俺もバナナ食べたいから」
「仕方ないわね……」
今だ! 俺がレオナに餌付けされているうちに会議を進めろ!
「で、残りの軍団長が、この間のバルジの塔で一気に襲いかかってきたワケか。おっかなかったな……」
ポップは震えた。
「でも、そのひとり……バランだっけ? アイツがダイの親父さんだったなんてな。すげえ強かったし、味方にできねえか?」
ポップが珍しく建設的な提案をした。
しかしハドラーは首を振る。
「息子がゴリラと化して、あれだけ嘆いていた男だぞ。もし素でもゴリラだと知れば、味方どころか、親子で骨肉の争いを演じる破目になるかも知れん」
「誰が素でゴリラだよ」
「いいじゃない、ゴリラ。あたしゴリラ好きよ」
そういう話じゃないから黙っててレオナさん!!!
でも嬉しい。
いやゴリラじゃないけどね!? ないけど!!
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