第十六話 人の物を馬鹿にするのは良くないよ!
~人里~
「おじさーん、団子3本頂戴。」
「まいど!」
どうやらここの団子屋はかなりの人気らしい。凄い行列で、注文するのに30分以上もかかってしまった。俺は待つのは嫌いなんだが、霊夢の頼みだし、仕方ないね。
「ん?おお伊藤じゃないか?」
「あ、慧音先生。こんなところで何してるんです?」
「何してるかって……見ればわかるだろう?団子を買いに来たんだよ。ここの団子は有名だからな。」
今俺に声をかけたのは上白沢慧音。人里で教師をしているワーハクタクらしい。俺は外の世界で少しだけ教師を目指したこともあり、尊敬の念を込めて慧音のことを先生と呼んでいる。
「へい兄ちゃん、団子3本一丁上がり!」
「あ、おじさんどうも、はいお代。」
「気をつけて帰れよ!どうも最近怪しい男がそこら辺をうろついてるみたいだからな!」
「わざわざどうも。それじゃあまた「てめぇふざけんじゃねぇぞ!」……言ってるそばからか。ちょっと行ってくるよ。」
「私も行こう。人間が危ない目に合っているのを黙って見過ごすわけには行かない。」
どうやら今の怒声は路地裏から聞こえてきたようだ。俺は慧音先生と共に怒声が聞こえたの方へ向かう。
~人里・路地裏~
「ご……ごめんなさい。」
「ごめんで済むと思ってるのかおい!」
人通りの少ない路地裏で、一人の子供と大柄な大人が言い争いをしている。その男の右手を見て、俺は確信する。俺は隣のコートオブアームズにささやく。
「おい、あの男……」
「ああ……No.が憑いてる。」
男の右手に20という数字が光っている。20ということは……ブリリアントか。大したことないな。安全を確認して、俺は男に近づく。
「まぁお兄さん落ち着いて。」
「あ?誰だてめぇ?」
「只の通りすがりの一般人ですよ。それより一体何があったんです?」
「どうしたもこうしたも、こいつが俺にぶつかってきて謝りもしねぇんだよ!」
「だ、だからさっきから謝ってるじゃないですか……」
「うるせぇ!ぶつかってきた時に謝らないのが悪いんだよ!とりあえず治療費として100万よこしやがれ!」
「そ、そんなにもってませんよ……」
いわゆる当たり屋か。こんなのってどこにでもいるんだな。まったく大人気ない。
「まぁまぁ落ち着いてくださいよ。」
「てめぇはさっきからうるせぇんだよ!」
「うぐっ!?」
突然男が俺の腹部に拳を入れる。突然のことで体がよろめく。
「大丈夫か!?」
慧音先生が心配して声をかけてくれる。
「大丈夫……少し油断しただけだ。」
「あまり無茶はするなよ?怪我でもされたら困るしな。」
「心配にはおよばんよ。」
俺を心配してコートオブアームズも声をかける。
「あ?なんだそいつは。ああ、俺の中にいるこいつとおんなじようなもんか?」
男が20という数字が光る右手の甲をこちらに向ける。
「まぁそんなとこだな。」
「はっ!てめぇのなんかより、俺が持ってる奴の方が断然強そうだな!」
「……今、何つった?」
「ああ!?聞こえなかったのか!?じゃあもう一回言ってやるよ!てめぇみたいな雑魚、俺になんかかなうはずが……え?」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク