宣戦布告
本日開催の若手悪魔の会合に参加するために控え室制服で出席するのもありなんだけど、万が一戦闘になったときの為に用意はしておくべきだ。
学校の制服から着替えていのは、マルテット率いる技術者たちの黒を基調としたオーダーメイドの戦闘服。制服で出席しても良かったけど、万が一戦闘になった時と一応は格好をつける為に着替えておく。
俺の物は、カンピオーネの魔術無効化のせいで、他の人のように魔術による補助が出来ないけど、代わりに素材自体が特殊な物で出来ている。マルテットの『魔剣創造』で生み出された防御特化の魔剣を糸状に加工して、それを服の形に編み込んでいる。手間だけなら一番かかってる。
シャツに着替えてズボンを履き、コートを羽織る、靴も革靴じゃなくて軍人が使うブーツで長時間、立っても悪路を走っても疲れにくい。まさに至れり尽くせりの一式になっている。
鏡で調節を終え、後ろを振り替えると着替え終わった、セレナと灯巳それと影の中から片手だけを出してグッ!と親指を立てている、朱柘。
セレナは右腕の義手の動きを邪魔しないように右肩部分だけがノースリーブになっている、下はシンプルのパンツ。
灯巳はいつも通りの巫女服なんだけど、上は白いのに、下は黒で下駄の代わりにブーツという変わった組み合わせ。本人の希望で巫女服になったらしい。
朱柘に関しては、常に戦闘服を着ているし、そもそも今回の会合には参加してないことになってる。
戦闘にならない限りは、姿を見せることはない。
「そんじゃ、行こうか」
扉を開けて控え室を出る事には、セレナ、灯巳の顔からは笑顔は消え、朱柘は影の中で息を殺した。
周囲の悪魔から向けられるいくつもの視線。
悪意、敵意、興味、嘲笑の視線ばかり、大半が、俺たちを下に見てる。
やっぱり、こいつ等は理解してない、自分たちが全滅というものの目の前に立っていることを。
こりゃー、冗談抜きで戦争になるかもな。そもそも貴族主義の悪魔が変われるとは思ってなかったけど、期待するだけ無駄か。
「貴殿が異世界からやってきた神殺しか」
腕を組んだ状態で壁に寄りかかっている黒髪の短髪の男。何よりも服の上からでも分かる鍛えられた筋肉からくる威圧。
悪魔なのは確か……だけど、異様だ、魔力を感じない。
カンピオーネの感覚は敏感に周囲の変化を感じ取る。それは対人においても発揮される、それに、この男は引っかからない……あ、そっか、最初から空っぽなんだ、持って無いから感じないんだ。
「合ってるよ……アンタ、魔力を持ってないんだな」
「ッ!顔を合わせただけでバレるとは、貴殿を見くびっていたようだ。俺はサイラオーグ・バアル」
バアル、リアス・グレモリーの母親の実家で『滅びの力』を持つ一家だって報告書にあったな。
「神無月涼だ。やっぱり、アンタは魔力を持ってないのか」
サイラオーグから差し出された手を掴み、握手を交わす。
その間も、コイツは、俺から目をそらさない。鍛錬で身に着けて精神力か。
手繋いでる、コイツには伝わってるはずだ、俺の存在という圧力が、それでも、彼は手を解かない。
「試すようなことして済まないね」
「いや、俺も、貴殿のような存在を身近に感じることが出来て良かった」
握手を解き、俺の存在を噛みしめるように頷く、サイラオーグ。
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