ハーメルン
神殺しin―――ハイスクールD×D
戦争の準備

 涼たちが冥界で若手悪魔の会合に参加している間に、涼率いる『獣群師団』は密かに動いていた。
 涼の命令で単独で同盟を結ぶために北欧の地まで足を運んだ執事服の純潔悪魔―――グリューヌ・グラシャラボラス。暗殺されたと、言われているグラシャラボラス家の次期当主候補だった男だ。

「まさか外交に純血悪魔が来るとは思ってなかったのう」
 ソファに深く腰を掛けて隻眼の老人という外見からはイメージ出来ない北欧神話の頂点―――オーディンと傍に護衛として仕えるワルキューレの一人―――ロスヴァイセ。
「我が主である涼様の支配する国を見て、悪魔がどれだけ腐っているかを知りました。丁度『禍の団』に暗殺され死にかけたことを利用、死亡したことにして、現在は、涼様の守護者を務めております」
「ほほほ、若い悪魔の中にも現実を見る悪魔が居たか」
 オーディンから見ても、いや、世界の神話勢力から見ても三大勢力がどれだけクズと見られているかが、その一言で理解できてしまう。

「それで、涼様との同盟の件ですが」
「そうだのう、お主の主の力量が見ぬうちは分からぬからのう。早計には決められぬ」
 要は、グリューヌの主である、異世界の神殺し神無月涼に合わせろと言っているのだ。
「はい、涼様より、もし会いたい、という話になった場合、日本での話し合いの場を設けると、仰せつかっております。勿論、日本神話より日本への立ち入りも受諾済みですので問題ありません」
「手が早いの、いや、元から日本神話とは同盟関係だったか」
「正確には、協力体勢だったのが、涼様が表に出るようになってから正式に同盟関係となりました。なにより、日本の巫女の一人が涼様の伴侶ですので」
「伴侶とな!お主の主も若いのにやるのう、ところで、お主、嫁はおらんのか?」
「はい、何分悪魔は結婚は遅く、私も次期当主となる予定だった身。容易に婚約者を決めるわけにもいかず」
「なんなら、このロスヴァイセなんてどうじゃ?少し面倒な性格だな、料理も旨いし、事務仕事も出来るぞ」
「ちょ!?何しれっと人の人のことを嫁がせようとしてんるですか、オーディン様!」
同盟の話からいきなり、自分の婚約の話になったことで慌てて話に参加する、ロスヴァイセ。
「なんじゃ、お主の好みに合う男じゃろ、身分、立場、そして時代を背負う人間の王の側近、収入は安定しておる。一体どこに文句があると言うのじゃ?」
 オーディンとロスヴァイセの軽い口喧嘩を聞きながら、出されて紅茶を味わうグリューヌも中々、肝が据わっている。


@ @ @

 
 俺は護衛を付けず裏京都を訪れていた。
 いつもなら誰かを護衛に着ける所なんだけど、セレナたちは今度行く海水浴や夏祭りに必要な水着や浴衣を買いに出かけているので、陣中見舞いをかねて、三大勢力に対しての宣戦布告の件を話にやって来ている。
 
「あっつ」
 新幹線から降りると冷房の効いた車内から一気に蒸し暑い空気が押し寄せてくる。改札を抜け、京都駅の外に出るとそれほど混んでは居ないけど夏休みだ。観光客も少なからず居る。

「待っておったのじゃ、涼」
 京都駅で案内人として裏京都が寄こしたのは九重だったみたいだ。
 金髪にいつもの巫女服は流石に目立つ。
「久しぶり、九重」
 頭に手を置いて、わしゃわしゃと撫でると気持ちよさそうに目を細める。

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