ハーメルン
神殺しin―――ハイスクールD×D
北欧の主神との会談

 神殺し神無月涼とアースガルズの主神を務めるオーディンとの会談が人間界にある『獣群師団』の仕事を行う為にと購入したオフィスビルの会議室で行われていた。
 会議室の中には、俺と前に顔を合わせたグリューヌ、京都に連絡する為に灯巳が同席。相手は、オーディンと護衛のロスヴァイセの二人。

「自分の目で見るまで信じられなかったが、本当にお主は神を殺しているようじゃな。体から神格が漏れ出ているのう」
 不敵そうに笑うオーディンの横で戦争にでもなるんじゃないかと思ったのか慌てだすロスヴァイセ。

「そう言っておいただろ。で、同盟は組んでくれるのか、くれないのかどっちなんだよ」
「勿論、受けるぞ。今は被害が無くともいずれは北欧神話にも影響が出るであろうからな」
 オーディンの話では北欧では目立った被害が出てないらしい。その一つの理由が、悪魔が人間界で主な活動としている日本から離れているかららしい。ただそれは悪魔の被害が少ないというだけで三大勢力からの被害が少ないというわけじゃないらしい。
 北欧で最も被害が多いのは天使陣営に属する教会の人攫いや人体実験と保管してあった武器の盗難だそうだ。
 魔帝剣グラム、バルムンク、ノートゥング、ディルヴィング、ダインスレイブなどの英雄が持っていた魔剣の類が盗み出され、魔帝剣グラムを扱える「真の英雄シグルドの末裔」を生み出すことが目的のシグルド機関という人体実験の研究も存在していたそうだ。
 どうも天使陣営は教会関係者の管理と神ヤハウェが作ったシステムとやらを守るのが人間の命を好き勝手に弄り回すことよりも大事らしい。
 これじゃ、三大勢力で一番まともなのが堕天使ってことにならないか、それもどんぐりの背比べだけどな。

「そうか。良かった、流石に北欧と敵対は疲れるからな」
「ほう、無理だとは言わないようじゃのぅ」
 生意気だ、というよりは戦うのも面白い、という顔をしているオーディン。
 こっちの神も戦いが無くて退屈でもしているみたいだ。
「神殺しだからな、無理とは言わないさ」
「お主と剣を交えるもの悪くはないが、それは次回に取っておくとしよう。それよりもじゃ、どうもロキの奴めが良からぬことを考えているようでな」
「ロキ?北欧神話で有名な他の神々にちょっかいを出した、っていう悪神ロキか?」
「それであっとるよ。どうも、儂がお主と他の神話と同盟を組むのを良く思っていないようでの、加えて、動き出した三大勢力にもちょっかいを出そうとしているようでな」
 なんとも傍迷惑な話だ。
 神話のトリックスターは、北欧神話のロキが最も有名だが、日本ではスサノオ、ギリシャではプロメテウスが該当する。時に悪事を働くが、その行動は結果的に良い結果を生むとされ。特に人間の文明を進歩させたり、進化を促すということもある。トリックスターは文化英雄とも結びつけられることも多く、これのイメージは人間に火を与え、生活を豊かにプロメテイウスが一番イメージしやすいだろう。
 つまり、トリックスターは悪事や盗みを働くと同時に良い結果も運び。良くも悪くも現状に大きなうねりをもたらす。簡単に言うと引っかき回すというわけだ。それがどんな結果を引く起こすかは、まさに神のみぞ知るというところだ。

「正直、武力で解決できる問題なら楽でいいけど、他の物になると行き当たりばったりだな。最悪、起きたことを利用して、損以上の得を手に入れるしかないか」

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