転校生
賞金稼ぎで稼いだ金をつぎ込んで建てた一軒家。
数日前までは俺、黒歌、セレナ、灯巳の四人暮らしだったが、コカビエルの一件で現場に居たゼノヴィアと黒歌の遠視の術で見ていたイリナは運悪く神が死んでいることを知ってしまった。二人揃って教会を追放。住所不定無職になった状態で日本に帰ってきた二人を見つけてしまい、結局、捨て犬を拾うかのように家に連れ帰ってしまった。
「ゼノヴィア、力任せに振り回さないしっかりと敵を見て!イリナも攻撃が軽いです、腕だけで振らずに体重を乗せて!」
朝食の前の軽い運動と言って、庭でセレナがゼノヴィアとイリナに剣の指導をしている。灯巳と黒歌はキッチンで二人仲良く朝食を作っている、俺はというとやることもないのでニュースを聞き流ししながら庭で練習する三人を眺めている。
ジャージ姿で汗を流す三人。
こうも剣を見ていると脳裏に剣王ことサルバトーレ・ドニと戦った時のことが蘇ってくる。名前の通り全てを斬る魔剣に無敵みたいな防御力。文字通り最強の剣と最強の盾を携えてカンピオーネだった。
「他のカンピオーネがこっちに来たら本当に世界が滅ぶよな」
ないであろう可能性に頭を悩ませていると後頭部に柔らかい感触が突然やってきた。
「難しい顔してどしたにゃ?」
「ん~、もし俺以外の神殺しがやってきたらどうしようかと思ってな」
背中に抱き着いてくる黒歌に聞くと、俺の力を何度も目にしている黒歌はどうしようもないと適当に返事を返してきた。
確かにそうだな。起こってもいないことに悩むのも無駄なことか。
「よいしょっと」
背中に体重を掛けてきている黒歌を前に移動させて、抱きしめる。
「どうしたにゃ急に」
「別にいいだろ、偶にはさ」
女性特有の柔らかさと甘える猫のように顔を擦りつけてくる黒歌の頭を撫でて、耳の裏を指先で掻いてやると気持ちよさそうにしている。
「ちょっと!黒歌!一人で主とイチャイチャしないでください、ずるいよ!」
両手にスクランブルエッグとサラダの乗った皿を持ちながら俺と黒歌を見て灯巳が叫ぶ。その声を聞いて、セレナにゼノヴィアとイリナも俺たちをジッと見ている。
「涼は黒歌たちと付き合っているのか?」
「違うわよ、ゼノヴィア。これはハーレムよ!ハーレム!」
「なら、私たちもそのハーレムとやらに入れるのか」
「ちょっと、何言っているのゼノヴィア!?」
イリナはゼノヴィアの肩を掴んで前後に揺らしながら、チラチラと俺を見てくる。
「だが、イリナ。私たちは今まで全てを神に捧げてきたが、いまは自由の身。禁じられてきたことだった恋愛なども出来る。ならば恩人であり、私たちを拾ってくれた涼は優良物件というやつではないのか」
恥じらうことなくズバズバとイリナに言うゼノヴィアに周りはコイツやるな、と思い。イリナは年頃の乙女らしく顔を赤くしてあわあわしている。
「俺としては夜にお前らが来ても受け入れるけどな、もう三人は抱いたし」
そう黒歌も、セレナも、灯巳も、既に抱いている。
いまでは夜に一緒のベッドで寝ているくらいだ。いまになって二人増えたところで夜の行為に支障はない。流石はカンピオーネの体力、あっちの体力もすさまじい。
「朝からアホな話してないで朝食食べないと学校に遅れるよ。今日から高校生なんだから!」
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