2.師曰く「滅びよ」
おはようございます。人間から闇の一族に転生した女ことアルフィーちゃんほぼ四千歳です。
あ、そういえば初めて名乗りました? そう、わたし今の名前はアルフィーと言います。わりとかわいい名前だと思うので、気に入ってます。
それはさておき、いやー、眠りに落ちていくと同時に身体が石化していく感覚は結構怖いものがあるよ。これは確かに、克服したいと思っても不思議じゃないね。
とはいえ、眠りから覚めて身体に血が通っていく感じは独特の高揚感もあったんだけど。
さて目が覚めたところ、カーズ様とエシディシも休眠中だった。残っていたメモから、どうもわたしが休眠した少しあとに二人もほぼ同時に休眠期に入ったみたいだった。
とりあえず寝てから起きるまでの間に何があったのか、情報収集をしようと思ったんだけど……いやー、すっかり一族からつまはじきにされてますわ。
気持ちはわからなくはないんだけどね。わたし一人でも結構な量食べるし。きっとわたしたちが寝てる間、一族は平和に過ごしてたんだろうなぁ。
というわけで、年齢的にもほぼ独り立ちを余儀なくされるところではあるから、食料探しを兼ねて情報収集に向かった。
見つけた生き物に、持参した石仮面をかぶせて吸血鬼化。しかるのちにズムムっと吸収するお食事だ。
正直、食べてる気がしなくてわたしはこれがあんまり好きじゃない。味をしっかり感じられる口からの摂取がいいんだけど……かといって、闇の一族は味付けや調理の概念があまり普及していない。生物として強すぎて、料理の概念を発達させる余地がなかったんだろうなぁ。必要は発明の母とはよく言ったものだよね。
でもそういう学者的な感傷はさておき、二十一世紀から来た身としては、日々の食事が本当に味気なくて……。
それに、生肉をかじったり火で焼いただけのタイプ:ワイルドな食事は、さすがに遠慮したいし……。
というわけで、仕方ないのだ。ジョジョの本編が始まる時期まで行けばそこらへんは改善するだろうから、待つしかない。
……あ、人間。迂回しよう。
人間は……人間はやっぱり、食べたくないね。元人間だもの。み〇を。
カーズ様たちが見たら、不思議に思うんだろうなぁ。一番エネルギー効率がいい食べ物を食べないなんて、って。
でもこればっかりは、ね。どうしようもない。
いつか慣れる日が来るんだろうか。そんな日が……来てほしいような、来てほしくないような。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
そこからおよそ五十年。やっとカーズ様とエシディシが復活した。
目覚めた二人に、食べ物を渡しながらついでに眠っている間にどうなったのか、報告する。
と言っても、目立った変化はさほどない。わたしたちが寝たことで食物連鎖が正常に戻ったみたいで、外は平穏そのものどころか食料には困らないありさまだったし、闇の一族も寝てる間特に何も対策を講じていなかった。
正直言って、彼らはのんきしすぎだと思う。
こちらにおわすお方をどなたと心得る。合理主義の塊、目的のためには手段を選ばないラスボスの鑑、カーズ様にあらせられるぞ。彼なら寝込みを襲うくらい平気でするだろう。
「ふん、所詮やつらはそこまでの生き物ということよ」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク