3.任務は子育て
はい、というわけで人間改め、闇の一族改め、柱の男……じゃない、柱の女ことアルフィーちゃん大体八千歳です。紀元前六千年くらいかな?
え? 一気に時間が飛んだって? そりゃああの大虐殺のあと、みんなで揃っておねむの時間でしたからね!
それはともかく、起きて思ったことはなんというか、やってしまったなぁ、って感じだ。
うん、完全に人間をやめてしまったよ。もう後戻りはできない。わたしは、自分だけ生き残るために仲間全員を売ったんだ。
後悔は……あんまりない。少なくとも、普通に生活できるくらいには。
この辺りも、石仮面の副作用なのかなぁ。あの瞬間は確かに、ものすごいショックがあったはずなんだけど。
でも確かに、わたしはあの瞬間に変わってしまったんだとは思う。何せあのあと、普通に人間を食べられるようになっちゃってたから……。前はあんなに避けてたのに……。
そんな風にわたしが一人葛藤しながらも、複雑な心境で人間を食べる日々を過ごしていたある日、ふと思い出したようにエシディシが言った。
「ところでカーズよぉ。こいつらのことはなんて呼べばいいんだ?」
「名前か……考えたこともなかったな……」
ネグレクト全開なカーズ様の発言に、思わずジト目を向けてしまったのは悪くないと思う。この人は本当に、自分ファーストだなぁ。
いや、気持ちはわからなくはないんだよ。わたしも、自分の好きな研究やってるときは周りが見えなくなってる自覚はある。楽しいからね、仕方ないね。オタクってそういうとこある。
でもそれはそれとして、子育てのほうが優先度が高いことは理解してるつもりだよ。だって放っておいたら死んじゃうんだもの。
というか、そもそも彼ら生まれてから二千年の間、あなたたちも同じ場所で生活してたはずでしょーが!
なんてことを言ってしまったわたしを殴りたい。なんなら【バイツァダスト】でも構わない。
「そうか。ならばお前が育てるといい」
なんて丸投げされたんだもん!
エシディシも何笑ってるんだよ! かくなる上は、お前がパパになるんだよ!
というわけで、まさかの八千歳にして未婚の母になってしまった。種族的には、姉って感じなんだけど。
でもあのワムウとサンタナを育てる羽目になるとは、誰が予想したことやら……。
「で、名前は?」
「あ、はい。先に生まれたこの子がワムウで、こっちの子がサンタナです」
「そうか。覚えておく」
簡潔に答えて、頷くカーズ様。
うん、知ってた。優先すべきはそこじゃないもんね。
「あれ? あとに生まれたガキの名前、そんなんだったかぁ?」
あ。
しまった、普通にジョジョラーの観点で答えちゃったけど、サンタナって本名じゃないや。シュトロハイムのつけた人間側のコードネームだった。
……い、いや、でももう言っちゃったし。それに違う名前だったとしても困らないよね誰も!
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