ハーメルン
Re:夢X夜
2019/09/28

 あれは2019年9月28日の夢だった。

 ある田舎町で、近所の子供たちに恐れられている男がいた。男はしきりに子供たちに怒鳴り散らしていた。私はその様子を監視しようと、彼の家の上に塔のように積まれた段ボールの上にしがみついた。非常に不安定だった。やがて私は男に見つかった。
 どうやら男は芸術家だったらしい。私と数人いた仲間たちは彼のアトリエに連れ込まれた。学校の廊下から、教室の中に飾られた展示物を見る仕組みだった。幾何学的なカットを施された、色とりどりの宝石。その他東洋の様式で西洋の事物を表現したものが多く、みんな「何これ」「変なの」「帰りたい」と口々に言っていた。しかしこういうとき私はアーティストの側を擁護したくなるもので、「そう?面白いじゃん。切り絵なんてステンドグラスとかワヤン・クリとか、洋の東西問わず親和性高いの多いし」などと言っていた。
 
 アトリエから戻ると、留学生の友人がいた。どうやらあの芸術家、彼の兄だったらしい。友人は彼の発明だといって持っていたプロペラ付きフラペチーノを飛ばした。プロペラはすぐに止まってフラペチーノは真っ逆さまに地に落ちた。だれかが「もったいない」となぜか逆さまに突き出たストローから中身を飲み干してしまった。すると、友人は「これからだったのに」と言った。友人が新しいフラペチーノを取り出すと、私はそれを「フラペチーノの糖分を分解して発電するモータープロペラだ!」と言い当てた。地に落ちたフラペチーノはそのあと、今度はもう一度飛び上がった。

 さて、発明芸術家が戻ってきた。芸術家は友人の一人としてその場にいた白竜シースに異物を注射しようとした。しかし、私がその意図を見破ると、芸術家はやむなくそれを自分に投与した。すると彼の身体はシースに似た、しかしもっと醜いバイオハザード的怪物へと転じた。
 ここでリセットがかかる。Take2では芸術家の企みが成功し、シースに薬が投与された。シースが変異すると白竜を素体とした怪物は強大な力を持ち、我々は散り散りになって逃げ隠れた。
 私はかつてシースが研究所としていた建物にいた。原作の書庫ではなく、私の小学校時代の校舎だ。運動場は、いや、世界は氷に閉ざされていた。そしてそこをシースの眷属たる苔と氷のゴーレムが練り歩いていた(クリスタルゴーレムが原型ではない。苔のゴーレムが氷漬けになったような風貌だ)。ゴーレムに襲われた私はかつて塞がっていたフェンスの穴から学校の外へ出た。すると、独立したステージではなくオープンワールドのような世界が広がっていた。最初、そこは海だった。肩まで浸かった私は背の高いゴーレムに追いつかれそうになった。しかしそこに仲間が通りかかり、スノーボードを渡してくれた。すると、その先には陸地があった。田舎の自然だ。遠景には森が広がっている。地面は、雪だったり土だったり田んぼだったりとモザイク状に色々なものが敷き詰められていた。踏む地面の種類が変わるたびにBGMが変わった。どれもポケモンの自転車のようなBGMで、爽快なことに違いは無かった。私たちはそれから、どこまでもスノーボードで滑っていった。



 覚醒した私の意識には、漠然とした冒険の衝動があった。見たことの無い景色、特に雄大な自然が見たいと願い、しかしこの休日も引き籠るのだろうと椅子に根の生えたような自分の性分を恨んだ。

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