ハーメルン
「信濃」戦記録
接収

深夜

「別動隊合流します。」
「うむ、畝傍大佐を。」
「はい、『無線』繋ぎます。」

《はい、畝傍です、長官》
「畝傍大佐、報告は受けた、
 夜戦はするな、このまま作戦通りに帰投せよ。」
《御冗談を、
 このまま『陸戦隊』の方に便乗します》
「なっ?!馬鹿も休み休み言いたまえ!!
 お前がそこまで背負う必要は無い!!」
《畝傍大佐、短艇接舷しました》
「畝傍大佐っ!!」
《長官、長官の私室に
 また積んでありますので精査をお願い致します》
「おまっ!?」
「無線、切れました。」
「はぁ、なぁ?参謀。」
「なんでしょうか?」
「どうしてアイツは俺の私室を知っているんだ?」
「公然の秘密では?」
「え?」
「夜な夜なの麻雀をお止めいただければ
 バレにくくなるかと?」
「なっ!?」



「よろしかったのですか?」
「何が?」
「長官ですよ?」
「良いの良いの、
 元々俺が立案した『作戦』だし、
 立案者が現場に行かないでどうするのさ?」
「ほんと、大佐は変わり物ですね。」
「ん?今更だろ?」
「・・・でしたね。」
「艦長、間も無く作戦海域です。」
「よし、潜望鏡深度へ。」
「浮上、潜望鏡深度。」
「タンクブロー開け。」
「ブロー開きます。」
「自動水平機起動。」
「水準器動作確認。」
「深度、20。」

「ふむ、周囲に艦艇は?」
「聴音、スクリュー音無し。」
「港湾部の火災は見えるっと。」
「では?」
「よし、各艦の同調に期待しよう、
 作戦時刻確認。」
「了解、開始時刻、2300。」
「5、4、3、2、1、今!」
「浮上!!陸戦隊発進!!」


「ぶへっ、づべた。」
「畝傍大佐、先に上がらんでください、
 艦橋塔には、まだ海水があるんですから。」
「でしたね、見事に濡れましたよ。」
「短艇ハッチ開きます!!」

艦橋塔と併設されている格納庫から
『ポンプ式推進器型内火艇』が2隻出て来る

「行ってまいります。」
「出来れば、全員の帰還を。」
「ぁ~、善処します。」

「短艇、行きました。」
「僚艦確認、全部います!!」
「うし、対空警戒厳のまま僚艦の援護を。」
「了解。」



「状況は?」
「ウィラー飛行場は完全に破壊されました、
 ウォルター中将は重傷ですが
 現場指揮を執っておられます。」
「・・・そうか、
 艦艇は?」
「ほぼ、全艦艇が被害を受け、
 複数の戦艦が擱座、半沈没、大破、
 巡洋艦も上部構造被害が多数、
 稼働艦艇は2隻です。」
「・・・駆逐艦、潜水艦は?」
「まだ、確認中です、
 潜水艦は海面に重油が浮き出ているので
 かなりの数が沈められたと。」
「市街地の被害は?」
「発電所がストップし、
 漁港が損壊、それ以外は特にないそうです。」
「つまり、市街地は。」
「はい、辛うじて
 ニューオリンズから電力を回して
 街路灯は点いています。」

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