晩御飯と妖精
「…お陰で執務も終わったよ。ありがとな」
三人を撫でてやると、各々満足げに笑った。
「もーっと私に頼って良いのよ!」
「えへへぇ…頑張ったのです!」
「こ、これくらい当然なんだから!」
無論、俺の机の上にはまだまだ大量の書類が乗っているが、見ないものとする。
何故ここで切り上げたのかと言うと、そろそろ一人でやらないと不味いというのもそうだが、晩御飯の準備があるからだ。
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
…まるで当然のように部屋を出る俺の後をてくてくとついてくる島風+三人。
足を止めれば奴等も止まり、足を早めれば奴等も加速した。
「だぁぁぁっ!!!ついてくるなよ!!」
振り向き、大きな声を出す。
「だって~雷~」
後ろを向いてさも当然のように言う島風。
「だそうよ?電」
そして雷も同じく後ろを向いて言う。
「だそうなのです暁ちゃん!」
そしてそして電も同じく言う。
「ふ…ふぇっ?!」
暁は回りを見渡して涙目になった。
…なんのコントをしているんだこいつらは。
「全・員・だ・よ!」
島風、雷、電に軽くデコピンを決める。
すると妙にむくれながら島風が言った。
「だって提督、落ちた塩探して食べそうだもん」
「流石にそこまでしねーよ!!」
コイツは俺をなんだと思ってるんだ
「そ、そんなんじゃダメよ!!!」
「だからやらねぇよ!!!!」
「流石にそれはちょっと…なのです…」
「レディはそんな事見過ごせないわ…」
何故俺の話を聞かないんだろうか。
頭を掻いていると、電が首をかしげた。
「それで…何処に行くのですか?」
「何処って…そろそろ晩御飯を作らねぇとな」
「今度はなにつくるのー?」
「何にしようかねぇ…量が量だからな…」
そう、全員が全員沢山食べるともかぎらないから、自分の意思で好きな分量を調整できるようなものが好ましい。
それも、ステーキのようなものだと途方もない時間がかかるだろうから、一度に大量に作れるようなものじゃないと駄目だ。
「…司令官さんが作るのですか?」
と、突然不思議そうに尋ねてくる電。
「何言ってんだ…昼も俺が…いや、空母と島風が作ったな…ありゃあ…」
「えっ…?空母の人たちが用意したんじゃ」
雷が驚いたような顔を見せた。
「そうだぞ?」
「作ろうって空母の人たちを説得したのは提督じゃん!!」
「だからお前らは精々空母に感謝s…島風ェ!!」
恩を売るような真似はしたくないと言うのに
気がつけば島風が拉麺を作るように至るまでの経緯を事細やかに説明している。
「そ、そうだったのね…」
「な、なのです…」
「へ、へぇー…」
三人が英雄でも見るような目を向けてきて、俺は妙にむず痒くなった。
そして厨房への扉を開ける。
暗い厨房の明かりをつけると、涙を流しながら立つ女性の姿があった。
「…へ?」
「ま、間宮さん…っ!?」
駆け寄る暁。
間宮と呼ばれたその女性は涙を拭うと、何でもないのよ、と笑い、その後ろに立つ俺の姿をみてぎょっとしたような顔を浮かべた。
「…どうも。最近ここに配属されたー」
「葛原司提督ですね。把握しております。」
「それでー」
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