2人の艤装
だが、他の鎮守府が見つけてしまっていたら……話はいろいろ変わってくるだろう。それは無いことを祈るしかない。
2人と共に施設に戻ると、飛鳥医師が私達の帰りを待っていた。少し神妙な表情。嫌な予感がした。
「君達の艤装について、来栖から連絡が来た。あまりいい報せではないが」
「……見つからなかった?」
「それならまだ良かったんだがな。別の鎮守府に見つけられてしまっていたことがわかった。おそらく、君達を襲った鎮守府だ」
おそらく最も最悪な展開。まず確実に戻ってくることはなく、分解されている可能性すらある。その艤装がどういう状態だったかは知らされていないらしい。
深海棲艦の艤装は、戦いを終わらせるための貴重な資料だ。見つけたものはどういう状態でも回収して調査に回される。それが姫級だったら尚更。私達しか知らないことだが、シロはその中でもさらに特殊だろう。場所によっては殺してでも欲しがるようなものだ。
2人とも大きくショックを受けたようだった。シロは言わずもがな、いつも元気なクロですら俯いてしまった。
「はぁ〜……もう最悪だよ。取り返すことは……」
「出来ないな。深海棲艦の艤装を欲しがるだなんて不審すぎる。申し訳ないが、諦めてもらうより他ない」
「だよねぇ……」
目に見えて落ち込んでしまったクロ。シロはもう無言で肩を震わせている。見ていても気の毒である。
「その艤装が見つかったことで、深海双子棲姫の討伐が完了した証拠にされていたそうだ。君達の安全は一応保障されている。言い方は悪いが、君達は死んだ扱いなんだ」
「安全より艤装が欲しいかな……」
だが、こればっかりは誰も何も出来ない。自分の身が可愛いとかそういう理由でなく、私達だけの問題では無くなってしまうから動けない。それが辛い。
「ふむ、そう言うと思ってな、摩耶にいろいろやってもらう予定だ。本来のものとはかけ離れたものになるかもしれないが」
先程シロが言っていた通り、2人が艦娘の艤装を使うことは出来ない。そして、今はこの施設に艤装のパーツやら何やらは1つも無い。
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