恐怖の侵攻
「私の目的は、全ての生命への報復。私をこんな形にした、世界への反逆。人間も、艦娘も、深海棲艦も、何もかもを滅ぼすことです」
大淀は満面の笑みを浮かべてそう言い放った。
意味がわからない。全生命への報復なんて大それたことを何故思い至ったのかが理解できない。こんな形とは何だ。見た目は大淀だが、中身が深海棲艦に染まっているというその身体のことか。
どうであれ、そんなふざけた理由で殺されてたまるか。大淀は私と三日月は生かしたまま何かに使いたいようだが、そんなことも絶対にさせない。
「ふざけるなよ」
「ふざけていませんよ。こんなに醜く歪んだ世界は必要ありません。お話はこれで終わりにしておきましょう。私のことが殺したくて仕方がなさそうですし」
合間合間にも三日月は欠かさず砲撃をしているが、そんなことお構いなしに話していた。私達は必死に訓練して力を得たが、大淀には足元にも及ばないほどにしか見られていない。腹が立つほどに、まだ実力差がある。
場所が狭いが故にリコの空襲も密度が足りず、回避がしやすくなっていた。私や曙が攻撃しやすいというのもあるが、今はそれを求めているわけではない。誰の手を使ってもいい。この場で大淀を殺さなくては。
「生きていてもらったら困ります。早急に死んでください」
「三日月の言う通りね。アンタはここで死ね!」
三日月も感情を消しているものの砲撃が少しだけ激しくなっていた。先程の大淀の発言に、無意識ながらも怒りを覚えたのだと思う。曙も槍での攻撃が乱雑になっている。私達が狙われている理由があんなふざけた理由なのを知り、頭が熱くなってきている。
「焦らない。心を静かに」
そんな中、鳳翔の声が聞こえたことですっと心が落ち着いた。リミッター解除の訓練の時、鳳翔にいくつか教えを貰っていた。それがこれ、鳳翔の声により冷静になること。
私と三日月はリミッターを外すという一定時間のブーストを行なうわけだが、時間制限があるせいで焦りが生まれてしまう。それを外部から指摘してくれるのが鳳翔だ。三日月は感情を消す分、無茶をしすぎるためにストッパーとしても使われている。
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