新たな捨て駒
「何かって言うと特別なことは無かったが、その間も浜辺の清掃は続けたぜ。工廠に拾ったモンは全部置いてある。大物もいくつか見つけてるから、明日からはそれを分解していくつもりだ」
「それでもやっぱりいっぱいあって、まだ掃除は終わってないの。明日も続けていくわ」
私達が抜けたことで終わらなかったというわけではない量のゴミが流れ着いていたようだ。それほどの大嵐であることは私も理解している。また、今回は特に多かったそうだ。
「三日月の件を聞いてたから一通りザッと浜辺を見て回ったが、深海棲艦の死骸は上がってなかったぜ。三日月が上がったのは、運が良かったのかもしれねぇ」
「そうか、わかった。ありがとう。明日も引き続き頼む」
「おう、まずは最低限、主機の部分だけは作ってやりたいからな」
そうすれば掃除の戦力も増えると、摩耶が少しニヤつく。本人達が希望するのだから、今より一層働いてもらうのだと。クロはやる気満々だったので、最優先は主機になりそうだ。そうなれば、私達と同じように重いものを運べるようになる。
「さ、食べちゃって! 今日は早く寝た方がいいわ!」
「ああ、そうだな。早く片付けなくては」
今日はここまで。次のことは明日以降に考えることにしよう。
新たな捨て駒、三日月。私と同じ境遇の艦娘は、この世界をどう思うのだろう。少なくとも私は、この施設に拾われたおかげで『楽しく生きる』ことが出来ている。ならば、三日月も同じようになってほしい。
この世界は、楽しいことで満ち溢れているはずなのだ。
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