負の塊
「……そうであれば苦労しない。艦娘は死体になると海底に沈むようになっているんだ。まず上がってこない。今まで見たことがない」
そういうところが艦娘を生体兵器たらしめる理由。死んだ場合、建造に使った素材の塊という扱いになるが故に、浮かないのだそうだ。それはそうだろう。重たい鉄の塊を背負っているのだから、沈んでいくに決まっている。それが破壊されても浮かぶことはない。
よって、浜辺に流れ着いている艦娘は、まだ死んでいないか、漂着してから死んだかの2択。そして後者は未だに見つからない。死ぬほどの大怪我で流されてくるなんて、ドロップ艦でない限り本来あり得ないからだ。仲間が救助するのだから。
「……そうか。すまない、バカなことを聞いた」
「いや、疑問に思うのも仕方のないことだ。無理矢理サルベージすれば手元に置けるが、そうで無ければ……いや、これ以上はやめておく」
死んだドロップ艦が流れ着くことも無いらしい。だが、その理由は話してくれなかった。
「話を変えよう。三日月のことだが」
「若葉が側にいる」
食い気味に意思を示した。
境遇が同じであり、少ない時間ながらも会話出来た私が最も適役だと思う。私は自分の傷も見せているくらいだ。まだ心を開くキッカケになれるだろう。
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