嵐の後
海の戦場で出たゴミが流れ着いているというのがよくわかる。使い物にならないものばかりのため、どんどんゴミ袋の中身が溜まっていく。これは最終的にそういうものを取り扱う廃品業者に持っていってもらうとのこと。
「すごく稀に高速修復材が流れ着いてたりするの。中身殆ど無いんだけどね」
「それで若葉の内臓を治してくれたのか」
「そういうこと!」
それが見つかれば御の字。もう私達には使うべき場所は無いが、今後のためにあると助かる。
「……本当にあるんだな」
「ね。こういうの何処で落ちるのかしらね」
12.7cm連装砲を見つけた。傷だらけではあるが、一部部品は使うことが出来そう。
摩耶のようなドロップ艦が鎮守府に発見されることなく深海棲艦にやられ、持っていた装備だけが流れ着いてしまったのかもしれない。この漂流物1つにも、無念が込められているような気がしてならなかった。ここから部品を使うのなら、大切に使わせてもらおう。
中を確認すると、未使用の弾薬もいくつかある。こういうものは民間の手が届くところに置いていてはいけない。そういう意味でも浜辺のゴミ拾いは必須な仕事なのだと思う。
「墜とされた艦載機……妖精さんは流石に乗っていないか」
今度は空母の使っている艦載機。操縦士である妖精さんはいないようなので、脱出後に艦載機だけがここに流れてきたようだ。
見た目だけならオモチャのように見えなくも無いが、これが普通に殺傷能力があるため、当然回収。これも何かしらに使えるかもしれない。
「正直、驚いてる。思った以上に物がある」
「私もよくわからないけど、ここは昔からよく流れ着いてるんだって。先生1人の時からそうだったみたいでね、私がやれるようになるまでは、他の鎮守府の人達に応援を頼んでたそうよ」
今でこそ艦娘が3人もいるため、外から呼ぶことなく浜辺の掃除が出来ているが、それまではさぞ大変だっただろう。今私が軽々持っている壊れた主砲も、飛鳥医師にしてみたら鉄の塊。易々と運べるものではない。
「あ、大物! 若葉、まずはこれ持っていきましょ!」
雷が見つけたのは、深海棲艦の艤装。おそらく軽巡級の主機の部分。傷はあるものの壊れている様子もなく、研究材料として然るべき場所が欲しがるようなものだろう。
艤装のおかげで軽々とは行かないが持ち上げることが出来るため、一旦これを持って施設の方へと戻る。ついでにゴミ袋を替えるなりした方が良さそうだ。
「何処に置いておけばいい」
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